マレーシアのSST(Sales and Services Tax)を完全解説。売上税10%・サービス税8%の仕組み、登録義務、申告方法。
この記事のポイント
- マレーシアのSSTは**売上税(Sales Tax)10%とサービス税(Service Tax)8%**の2本立て。日本の消費税10%とは構造が大きく異なる
- 年間売上高RM500,000(約1,650万円)超の製造業者・サービス提供者に登録義務が発生
- 2024年3月にサービス税が6%から8%に引き上げ。食品・通信等の一部サービスは6%据え置き
SSTの基本構造
マレーシアのSST(Sales and Services Tax)は、2018年9月にGST(物品サービス税6%)が廃止された後、同年9月1日に再導入された間接税制度です。日本の消費税のような単一税率の付加価値税ではなく、**売上税(Sales Tax)とサービス税(Service Tax)**の2つの独立した税で構成されています。
売上税(Sales Tax)の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 国内製造品・輸入品 |
| 標準税率 | 10% |
| 軽減税率 | 5%(食用油、一部の加工食品、一部建設資材等) |
| 免税品 | 基礎食料品(米、砂糖、小麦粉、食用油)、農薬、一部医薬品 |
| 課税段階 | 単段階(製造者出荷時または輸入時のみ) |
| 登録基準 | 年間売上高RM500,000超の製造業者 |
サービス税(Service Tax)の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 指定サービス(課税サービスリストに記載) |
| 標準税率 | 8%(2024年3月1日〜) |
| 軽減税率 | 6%(食品・飲料提供、通信、駐車場、物流) |
| 課税段階 | サービス提供時 |
| 登録基準 | 年間売上高RM500,000超のサービス提供者 |
2024年改正の重要ポイント
2024年3月1日施行のService Tax(Amendment)Act 2024により、以下の変更が行われました。
- 標準サービス税率: 6% → 8% に引き上げ
- 6%据え置き対象: 食品・飲料提供(F&B)、通信サービス、駐車場サービス、物流サービス
- 課税対象サービスの拡大: デジタルサービス、管理サービス、雇用サービス等が追加
- 関連者間取引: グループ内サービス提供も課税対象に(一部免除あり)
日本の消費税との主な違い
| 比較項目 | マレーシアSST | 日本の消費税 |
|---|---|---|
| 税の種類 | 売上税+サービス税(2本立て) | 付加価値税(単一) |
| 税率 | 売上税10%/サービス税8% | 標準10%/軽減8% |
| 課税段階 | 単段階(売上税)/サービス提供時 | 多段階(各取引段階) |
| 仕入税額控除 | なし(売上税) | あり(インボイス制度) |
| 登録基準 | RM500,000(約1,650万円) | 1,000万円 |
| 申告頻度 | 2ヶ月ごと | 原則年1回(選択で四半期・月次) |
最大の違い: マレーシアの売上税は仕入税額控除(Input Tax Credit)がないため、製造段階でのコストが最終価格に上乗せされます。日本の消費税のように仕入れにかかった税額を差し引くことはできません。
SST登録の手続き
登録義務の発生条件
- 売上税: 課税品の年間売上高がRM500,000を超える製造業者
- サービス税: 課税サービスの年間売上高がRM500,000を超えるサービス提供者
- 輸入者: 輸入時に税関で自動課税(別途登録不要)
登録手続きの流れ
- MySST(mysst.customs.gov.my)でアカウント作成 - 会社登録番号(ROC/ROB)が必要
- SST-01(売上税)またはSST-02(サービス税)の申請書を提出 - オンラインで完結
- RMCD(王立関税局)による審査 - 通常14営業日以内
- 登録証(Certificate of Registration)発行 - SST登録番号が付与
- 課税期間開始 - 登録日から2ヶ月ごとに申告義務
申告と納税
- 申告頻度: 2ヶ月ごと(課税期間終了後30日以内)
- 申告方法: MySST ポータルからオンライン提出
- 納税方法: 銀行振込、オンラインバンキング、小切手
- 遅延ペナルティ: 未納額の10%(初回)、さらに60日超過で追加10%(最大40%)
日本人事業者が注意すべきポイント
マレーシアで法人を設立する場合
- 製造業を営む場合、売上RM500,000超で売上税登録が必須
- 飲食業(レストラン・カフェ)は、売上RM500,000超でサービス税登録(税率6%)
- ITサービス・コンサルティングは売上RM500,000超でサービス税登録(税率8%)
- 日本の消費税と異なり仕入税額控除がないため、コスト構造の見直しが必要
デジタルサービスの課税
2020年1月から、マレーシア国外からマレーシア国内の消費者へ提供されるデジタルサービスにもサービス税8%が課税されます。日本からマレーシアの顧客にSaaS等を提供する場合、**Foreign Registered Person(FRP)**としての登録が必要になる場合があります。
よくある質問(FAQ)
Q1: マレーシアでレストランを経営する場合、SSTはいくらかかりますか?
レストラン・カフェのF&Bサービスはサービス税6%(8%ではなく軽減税率適用)が課税されます。年間売上高RM500,000(約1,650万円)を超えた時点で登録義務が発生します。メニュー価格に6%を上乗せしてお客様に請求するのが一般的です。
Q2: SSTの申告を忘れた場合のペナルティは?
申告遅延の場合、未納税額の10%がペナルティとして課されます。さらに60日を超えて未納の場合は追加10%、最大で未納額の40%のペナルティが発生します。悪質な場合は刑事罰(罰金RM50,000以下または懲役3年以下)の対象となります。
Q3: 日本からマレーシアへ商品を輸出する場合、SSTはかかりますか?
マレーシアへの輸入品には原則として売上税10%(一部品目5%)が課税されます。これは輸入通関時に税関で徴収されます。FTA(日マレーシアEPA等)により関税が減免される品目でも、売上税は別途課税されます。
Q4: GSTが復活する可能性はありますか?
2026年3月時点で、マレーシア政府はSST制度の継続を表明しています。ただし財政赤字の拡大や補助金改革の必要性から、GST再導入の議論は定期的に浮上しています。制度変更の場合は通常6ヶ月以上の移行期間が設けられます。
Q5: マレーシアの法人税とSSTの関係は?
法人税(標準24%、中小企業は最初のRM150,000が15%)とSSTは別個の税制度です。SSTは間接税として顧客から徴収し政府に納付するもので、法人税の課税所得計算に直接影響しません。ただし売上税は仕入税額控除ができないため、仕入コストとして法人の経費に含まれます。
まとめ
自分でできること: MySST ポータルでの登録・申告、基本的な税率の確認
専門家に相談すべきこと: SST登録義務の判定、免税品目の確認、FRP登録(デジタルサービス)、グループ内取引の税務処理
確認すべきこと: サービス税率(8% vs 6%)の適用区分、課税サービスリストの最新版、RM500,000基準の計算方法
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