📌 この記事の要点

インドネシアでの外資100%法人(PT PMA)の設立方法を解説。最低資本金IDR100億(約1億円)、OSSオンライン登録、BKPM承認の手順、マレーシア・シンガポールとの比較まで。

この記事のポイント

📌 本ガイドはBKPM公式情報およびOSS登録要件に基づいています(2026年3月確認)。

PT-PMA(外資法人)とは

定義と法的地位

PT-PMA(Perusahaan Penanaman Modal Asing)は、インドネシアで外国資本による有限責任会社として設立されるエンティティです。100%外資所有が可能で、マレーシアのSdn Bhd、シンガポールのPte Ltdと同等の法的地位を持ちます。

BKPM(インドネシア投資省)の監督下にあり、2021年オムニバス法(GR 7/2021)により、ポジティブ・インベストメント・リストに掲載される産業は資本金要件が大幅に引き下げられました。

標準的な最低資本金

一般産業: IDR100億(約100,000,000,000 IDR(約930,000,000円

優遇産業(ポジティブリスト対象): IDR5,000万〜IDR500万程度

設立に必要な要件と構成

最低人員・株主構成

項目 要件
最小株主数 2名以上
最小取締役数 1名(株主以外の人物も可)
最小監査役数 1名
外国人役員の要件 取締役の過半数がインドネシア国籍である必要はなく、外国人100%も可(ただしVOA=就労許可が必要)

登録住所・オフィス

費用内訳(全体で約500〜800万円)

公式手数料

項目 金額(IDR) 日本円換算
OSS登録(オンライン) 無料 ——
公証人手数料(定款作成) IDR 5,000,000 5,000,000 IDR(約46,500円
BKPM承認(標準) IDR 10,000,000 10,000,000 IDR(約93,000円
NIB登記簿手数料 IDR 500,000 500,000 IDR(約4,650円

隠れコスト・補助サービス

項目 金額目安(USD) 日本円換算
登録代行サービス(全手続き) USD 800〜2,000 約12〜30万円
会計監査初年度 USD 500〜1,500 約7.5〜22.5万円
銀行口座開設手続き USD 200〜500 約3〜7.5万円

合計概算: USD 1,500〜4,000(約22.5〜60万円)+ 資本金IDR100億

設立手順(ステップバイステップ)

Step 1: 定款作成(公証人との面談)

  1. 株主・取締役・監査役のパスポート・身分証を準備
  2. インドネシアの公証人(Notaris)を訪問
  3. 定款(Anggaran Dasar)を作成・署名
    • 処理時間: 1〜2営業日
    • 費用: IDR 5,000,000

注意: 公証人は政府認定が必須。BKPM推奨の公証人リストを確認してください。

Step 2: OSS登録(オンライン)

  1. oss.go.id にアクセス

  2. 外国投資家として登録(NIB申請)

  3. 必要書類アップロード:

    • 公証人定款(PDF)
    • 株主のパスポート・身分証写真
    • 登録住所の証明(契約書またはレンター証明)
    • 事業計画書(Rencana Bisnis)

    処理時間: 1〜3営業日(NIB取得) 費用: 無料

Step 3: BKPM事前承認申請

  1. NIB取得後、BKPM公式システムに進む

  2. 投資計画書(Rencana Penanaman Modal)を提出

    • 予定投資額、雇用計画、事業内容
  3. BKPM審査(基準チェック)

    処理時間: 7〜14営業日 費用: IDR 10,000,000

重要: オムニバス法対象産業の場合、この段階で資本金が大幅に引き下げられる可能性があります。

Step 4: 銀行での資本金振込

  1. インドネシア国内銀行(Bank Mandiri、BRI、BCAなど)の外資企業用口座を開設

  2. 定款定義の資本金(IDR100億など)を振込

  3. 銀行から「資本金振込証明書」(Surat Bukti Setoran Modal)を取得

    処理時間: 3〜5営業日 手数料: 銀行により異なる(通常USD 50〜200) 為替: 2026年3月時点で1USD ≈ IDR 16,000

Step 5: 法務・人間資源省への登記

  1. 公証人定款+資本金証明を持参

  2. Ministry of Law and Human Rights(法務人権省)で法人登記

  3. 企業登記簿取得(Akta Pendirian、Akta Pengurus)

    処理時間: 2〜3営業日 費用: 含まれている(Step 2時点)

Step 6: 税務登録・統計番号

  1. Directorate General of Taxes(税務総局)で納税者番号(NPWP)を取得

  2. Central Bureau of Statistics(統計局)で統計企業番号(SKDU)を取得

    処理時間: 2営業日 費用: 無料

ASEAN各国との設立比較

項目 インドネシア(PT-PMA) マレーシア(Sdn Bhd) シンガポール(Pte Ltd) タイ(BOI企業)
最低資本金 IDR100億(~1億円)※一部産業はIDR5,000万〜 MYR 1(約40円) SGD 1(約100円) THB200万(~7.5万円)※BOI促進事業
外資100%所有 ✅ 可能 ✅ 可能 ✅ 可能 ⚠️ 産業別制限あり
設立所要日数 10〜20営業日 1〜3営業日 1営業日(オンライン) 7〜14営業日
取締役国籍要件 制限なし 1名以上マレーシア人推奨 制限なし タイ人1名以上必須
初年度費用概算 USD1,500〜4,000 MYR 1,000〜3,000 SGD 1,000〜2,000 THB30,000〜100,000
年間コンプライアンス 中程度(監査、税務申告) 高(複雑な税務申告) 高(厳格な監査) 中程度(BOI報告)

ASEAN全体の詳細比較はASEAN法人設立比較ガイドをご参照ください。

インドネシア特有の注意点

1. 外国人役員の就労許可(VOA)

取締役が外国人の場合、以下が必須です:

役員になる前にVOAを取得しておく必要があります。定款作成時に役員候補者を決める際に同時進行で申請することで時間短縮できます。

2. オムニバス法(Omnibus Law)の優遇産業リスト確認

2021年以降、多くの産業で資本金要件が引き下げられました。あなたの事業がリストに含まれるか、BKPM公式ウェブサイトのポジティブ・インベストメント・リストで事前確認してください。

例:

3. 年間コンプライアンス(初年度以降)

4. 銀行口座開設の難しさ

インドネシアの銀行は外資企業向け口座を開設する際、以下を要求します:

推奨: Bank Mandiri または DBS Bank Indonesia(国際的な対応が良好)

日本人が知っておくべきこと

インドネシアvs日本の制度比較

項目 インドネシア 日本
法人税率 20%(2026年) 23.2%(法人税+住民税)
社会保険加入 Jamsostek強制加入(給与の約10%) 厚生年金・健保(給与の約15%)
会計年度 1月1日〜12月31日(固定) 自由(4月1日など)で選択可
監査要件 資本金IDR50億以上は監査必須 大企業のみ監査要件あり
給与・福利厚生 業界別最低賃金強制(地域別) 最低賃金(全国一律)で決定

ケーススタディ: 日本からのIT企業進出例

シナリオ: 日本のSaaS企業がインドネシア支社(PT-PMA)を設立する場合

  1. 資本金: IDR100億(資本金は事業規模に応じて親会社から派遣取締役報酬で回収可)
  2. 初期投資: Office rental(USD 3,000〜10,000/月)+ Staff(3名で月額USD 3,000〜6,000)
  3. 初年度総費用: 約100〜200万円(設立費用+初年度運営費)
  4. 回収期間: 市場規模が大きいため、1〜2年で投資回収可能な場合多し

参考: ASEAN生活費・進出コスト比較

よくある質問(FAQ)

Q1: 最低資本金IDR100億を全額実際に使う必要があるか?

A: はい。インドネシアでは資本金は法定資本(Registered Capital)であり、振込時に銀行口座に全額入金する必要があります。ただし、事業進行中に配当やローン返済で資金を回収・運用することは可能です。また、オムニバス法対象産業の場合、資本金が大幅に引き下げられることがあります。

Q2: OSS登録は自分でもできるか、代行必須か?

A: 自分で登録可能です。ただし、パスポート原本とインドネシア国内の電子署名(Sertifikat Digital Tanda Tangan Elektronik)が必要で、手続きは全てインドネシア語です。初めての場合、コンサルタント(USD 800〜1,500)に代行させることが一般的です。

Q3: 外国人役員にはVOA以外に何が必要か?

A: VOA(B211A就労ビザ)の他に:

詳細はインドネシア移民局に確認してください。

Q4: 監査は初年度から必須か?

A: はい。資本金IDR50億以上の外資企業は初年度から法定監査(Audit Laporan Keuangan)が必須です。BIG4(Deloitte、KPMG、EY、PWC)でのインドネシア現地監査が一般的で、費用はUSD 500〜1,500/年です。

Q5: 現地スタッフを雇う際の給与・社会保険は?

A: インドネシアは地域別最低賃金制度があります(2026年3月時点でジャカルタはIDR520万/月≈4.9万円)。さらに:

全て強制加入で、コンプライアンスは厳格に監視されます。

次のステップ:できることと専門家相談が必要な事項

自分で準備できる

✅ パスポート・身分証のコピー ✅ 事業計画書の作成(日本語で十分、翻訳は代行者が実施) ✅ オフィス物件の選定・賃貸契約 ✅ BKPM、OSS、インドネシア移民局ウェブサイトでの事前情報収集

専門家に相談すべき

⚠️ 公証人定款作成(インドネシア法務) ⚠️ OSS申請代行・書類翻訳 ⚠️ BKPM承認申請(投資コンサル) ⚠️ 銀行口座開設手続き ⚠️ 外国人役員VOA申請 ⚠️ 初年度・以降の税務・監査

推奨: Jakarta、Surabayaの日系会計事務所(ACCJ=日本商工会議所が紹介可)またはインドネシア進出専門のコンサルティング会社に一括代行を依頼(USD 2,000〜4,000)

まとめ

インドネシアのPT-PMA設立は、ASEAN各国の中では資本金要件が最も高い(IDR100億≈1億円)ものの、以下の理由で進出価値が高い:

  1. 市場規模: 東南アジア最大の人口270M、GDPも地域最大
  2. 労働コスト: 地域で最も安い給与水準(月額USD 200〜300)
  3. オムニバス法: 対象産業では資本金が大幅に引き下げられた
  4. 法的安定性: BKPM による透明な投資制度

資本金のハードルを超えられれば、中長期的には大きなリターンが期待できる市場です。本ガイドと専門家の助言を組み合わせ、計画的に進めてください。

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※ この記事の情報は2026年3月19日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。