📌 この記事の要点

ASEAN主要6カ国の法人税率を徹底比較。標準税率、中小企業優遇、経済特区の減税、グローバル・ミニマム課税(GMT)の導入状況を日本企業の視点で整理。

この記事のポイント

📌 この記事はPwC、ASEAN Briefing、各国税務当局の公式情報(2026年4月確認)に基づいています。

ASEAN主要6カ国の法人税率一覧

標準CIT率 中小企業優遇 特区最低税率
シンガポール 17% 実効約8.5%(部分免税)
タイ 20% 売上3,000万THB以下:免税〜15% BOI:0%(最大15年)
ベトナム 20% 経済特区:10%(最大15年)
マレーシア 24% SME:15%(初RM150,000)→17%→24% ラブアン:3%/パイオニア:0%
インドネシア 22% 売上48億IDR以下:0.5%(最終税) 経済特区:10%〜
フィリピン 25% MSME:20%(売上PHP 500万以下) PEZA:4年免税→5%

国別詳細分析

シンガポール(17%)

ASEANで最も低い標準法人税率です。

部分免税制度(Partial Tax Exemption):

実効税率の計算例(課税所得SGD 50万の場合):

所得帯 金額 免税率 課税所得 税額
最初の1万SGD SGD 10,000 75% SGD 2,500 SGD 425
次の19万SGD SGD 190,000 50% SGD 95,000 SGD 16,150
残り SGD 300,000 0% SGD 300,000 SGD 51,000
合計 SGD 500,000 SGD 67,575

実効税率:約13.5%

キャピタルゲイン税: なし(原則) 配当源泉税: なし(ワンティア制度)

タイ(20%)

中小企業向け累進税率:

課税所得 税率
30万THB以下 免税
30万〜300万THB 15%
300万THB超 20%

※対象:払込資本金500万THB以下かつ売上3,000万THB以下の企業

BOI(投資委員会)奨励:

ベトナム(20%)

経済特区・工業団地の優遇:

優遇区分 優遇税率 免税期間 50%減税期間
経済特区 10%(15年) 4年 9年
工業団地(困難地域) 10%(15年) 4年 9年
一般工業団地 17%(10年) 2年 4年
ハイテク認定 10%(最長30年) 4年 9年

付加価値税(VAT): 10%(2025年から一部8%→10%に戻り)

マレーシア(24%)

中小企業(SME)累進税率:

課税所得 税率
RM 150,000以下 15%
RM 150,001〜600,000 17%
RM 600,001以上 24%

※2024年以降、払込資本金の20%超が外国人・外国法人に保有されている場合、SME優遇税率は適用されません。

※対象:払込資本金RM 250万以下の企業

主な優遇制度:

SST(売上サービス税): 物品8%/サービス8%(GSTは廃止済み)

インドネシア(22%)

中小企業特例:

上場企業優遇: 国内証券取引所に40%以上を上場 → 3%の税率引き下げ(19%)

フィリピン(25%)

MSME優遇:

PEZA(経済特区庁)認定企業:

CREATE法(2021年施行):

グローバル・ミニマム課税(GMT/GloBE)の影響

概要

OECD/G20の第2の柱(Pillar Two)に基づくグローバル・ミニマム課税は、年間売上7.5億ユーロ以上の多国籍企業グループに**最低15%**の実効税率を課すものです。

ASEAN各国の導入状況(2026年時点)

導入状況 QDMTT IIR
シンガポール 2025年1月施行済み
マレーシア 2025年1月施行済み 準備中
ベトナム 2024年1月施行済み 準備中
タイ 導入準備中 検討中 検討中
インドネシア 導入準備中 検討中 検討中
フィリピン 導入準備中 検討中 検討中

日本企業への影響

GMT対象企業の場合(売上7.5億ユーロ以上):

GMT非対象企業の場合(中小企業):

各国のGMT対応策

GMT導入に伴い、ASEAN各国は以下のように優遇制度を変更しています。

  1. QDMTT(適格国内ミニマムトップアップ税)の導入:税収を自国に留める
  2. タックスクレジット(税額控除)への移行:法人税免除ではなく、税額控除で実質負担を軽減
  3. 補助金・助成金の充実:GMTの影響を受けない形でのインセンティブ

日本との租税条約

配当・利子・ロイヤリティの源泉税率

配当 利子 ロイヤリティ
シンガポール 0%/5% 10% 10%
タイ 10% 10%/25% 15%
マレーシア 5%/10% 10% 10%
インドネシア 10%/15% 10% 10%
ベトナム 10% 10% 10%
フィリピン 10%/15% 10%/15% 15%/25%

※条約の条件により税率が異なる場合があります。

日本・シンガポール租税条約の特徴

日本とシンガポール間の租税条約は、ASEAN内で最も有利な条件です。

日本人が知っておくべき注意点

1. 移転価格税制の強化

ASEAN各国で移転価格税制の執行が強化されています。

2. PE(恒久的施設)リスク

日本からリモートでASEAN各国に営業活動を行う場合、PEが認定されるリスクがあります。特にインドネシアとベトナムはPEの認定基準が広い傾向にあります。

3. 間接税(VAT/GST/SST)

法人税だけでなく、間接税も考慮が必要です。

間接税 税率
シンガポール GST 9%
タイ VAT 7%
ベトナム VAT 10%
マレーシア SST 8%/8%
インドネシア PPN 12%
フィリピン VAT 12%

よくある質問(FAQ)

Q. ASEANで最も法人税率が低い国はどこですか?

シンガポールの17%。部分免税制度を使えば実効税率は約8.5%まで下がります。

Q. グローバル・ミニマム課税でASEANの税制優遇は無意味になりますか?

大企業(売上7.5億ユーロ超)には影響がありますが、中小企業には適用されません。

Q. 日本との租税条約はどの国とありますか?

ASEAN主要6カ国すべてと締結済みです。

Q. 経済特区の税制優遇は今後も続きますか?

タックスクレジットや補助金への移行が進んでいますが、中小企業向けの優遇は継続見込みです。

Q. 移転価格税制はASEANでも厳しくなっていますか?

はい。特にインドネシア、ベトナム、タイで執行が強化されています。

まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと

自分でできること

専門家に相談すべきこと

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※ この記事の情報は2026年4月13日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。