📌 この記事の要点

海外に住む日本人が国政選挙に投票する方法を解説。在外選挙人証の取得、郵便投票・在外公館投票の手順。

この記事のポイント

在外選挙制度の概要

在外選挙制度は、海外に居住する日本国籍者が国政選挙に参加するための制度です。公職選挙法第30条の2〜30条の16および在外選挙人名簿に関する政令に基づいています。

対象選挙

選挙の種類 投票できるか 備考
衆議院議員選挙(小選挙区) 最終住所地の選挙区
衆議院議員選挙(比例代表) 最終住所地のブロック
参議院議員選挙(選挙区) 最終住所地の都道府県
参議院議員選挙(比例代表) 全国区
最高裁判所裁判官国民審査 (2022年〜) 2022年11月から在外投票対象に追加
地方選挙(知事・市長・議会) 不可 国政選挙のみ対象
憲法改正国民投票 在外選挙人証で投票可能

投票資格

在外選挙人証の取得方法

在外選挙人証の取得には2つのルートがあります。

方法1: 在外公館申請(海外から申請)

すでに海外に居住している場合の申請方法です。

申請先: 居住地を管轄する日本大使館または総領事館

必要書類:

  1. 在外選挙人名簿登録申請書(大使館・領事館で入手、またはオンラインダウンロード)
  2. 有効な日本国旅券(パスポート)
  3. 住所を確認できる書類(在留届の写し、現地の住民登録証明書、公共料金の請求書等)

手続きの流れ:

  1. 在留届の提出 - 3ヶ月以上の海外居住が前提(オンラインORRネットで提出可能)
  2. 在外公館で申請書を提出 - 本人が窓口に出向く(郵送不可)
  3. 在外公館から外務省へ送付 - 外務省経由で最終住所地の市区町村選挙管理委員会へ
  4. 選挙管理委員会で審査・登録 - 在外選挙人名簿に登録
  5. 在外選挙人証の交付 - 在外公館経由で本人に交付

所要期間: 申請から交付まで約2〜3ヶ月

方法2: 出国時申請(日本出国前に申請)

2023年の改正公職選挙法施行により、日本出国前に市区町村の窓口で直接申請できるようになりました。

申請先: 現在の住民票がある市区町村の選挙管理委員会

必要書類:

  1. 在外選挙人名簿登録移転申請書
  2. 有効な日本国旅券(パスポート)
  3. 転出届の提出(海外転出予定の届出)

手続きの流れ:

  1. 転出届を提出(転出予定日の14日前から提出可能)
  2. 同時に在外選挙人名簿登録移転申請書を提出
  3. 海外到着後、在外公館に在留届を提出
  4. 選挙管理委員会が在留届の確認後、在外選挙人名簿に登録
  5. 在外選挙人証が在外公館経由で交付

メリット: 海外での手続きが大幅に簡略化される。在外公館に出向く必要がない(交付の受取のみ)

3つの投票方法

1. 在外公館投票

居住地の日本大使館・総領事館で直接投票する方法です。

ASEAN主要国の在外公館一覧:

国名 在外公館 所在地
タイ 在タイ日本国大使館 バンコク
タイ 在チェンマイ日本国総領事館 チェンマイ
シンガポール 在シンガポール日本国大使館 シンガポール
マレーシア 在マレーシア日本国大使館 クアラルンプール
マレーシア 在コタキナバル領事事務所 コタキナバル
インドネシア 在インドネシア日本国大使館 ジャカルタ
インドネシア 在デンパサール日本国総領事館 バリ島
ベトナム 在ベトナム日本国大使館 ハノイ
ベトナム 在ホーチミン日本国総領事館 ホーチミン
フィリピン 在フィリピン日本国大使館 マニラ

2. 郵便等投票

在外選挙人名簿に登録された市区町村の選挙管理委員会に郵便で投票する方法です。

手続きの流れ:

  1. 投票用紙の請求 - 選挙管理委員会に「投票用紙等請求書」を郵送(在外選挙人証の写しを同封)
  2. 投票用紙の受取 - 選挙管理委員会から国際郵便で届く(1〜3週間)
  3. 投票用紙に記入・郵送 - 記入済み投票用紙を選挙管理委員会宛に国際郵便で返送
  4. 投票日までに到着 - 投票日の投票終了時刻までに届く必要あり

注意: 国際郵便の所要日数を考慮し、公示前から投票用紙を請求しておくことを強く推奨します。特にASEAN各国からの国際郵便は片道5〜14日かかる場合があります。

3. 帰国投票

選挙期間中に一時帰国している場合、日本国内で投票する方法です。

日本人ASEAN在住者が注意すべきポイント

在留届との関係

よくある失敗パターン

  1. 在外選挙人証を取得していない → 選挙公示後に急いで申請しても間に合わない(2〜3ヶ月かかる)
  2. 郵便投票の投票用紙請求が遅い → 国際郵便の往復で投票日に間に合わない
  3. 在外選挙人証を紛失 → 再交付に時間がかかる。再交付申請は在外公館で可能
  4. 引っ越し後に在留届を更新していない → 管轄の在外公館が変わり、投票場所で混乱

よくある質問(FAQ)

Q1: 在外選挙人証は一度取得すれば永久に有効ですか?

はい、在外選挙人証は有効期限がありません。ただし、日本に帰国して住民票を戻した場合、在外選挙人名簿の登録は抹消されます(国内の選挙人名簿に移行)。再び海外に居住する場合は、再度申請が必要です。転居した場合は在外選挙人証の記載変更手続きが必要です。

Q2: 海外から地方選挙(知事選・市議選等)に投票できますか?

できません。在外選挙制度は国政選挙(衆議院・参議院)と最高裁判所裁判官国民審査、憲法改正国民投票のみが対象です。地方選挙に投票するには、日本国内に住民票を置いている必要があります。

Q3: 二重国籍の場合、在外選挙に投票できますか?

日本国籍を保持している限り投票は可能です。ただし日本の国籍法では成人後の二重国籍は原則認められておらず、外国籍の取得により日本国籍を喪失した場合は投票権もなくなります。国籍の状況について不明な場合は、在外公館に確認してください。

Q4: 在外選挙人証の申請は代理人でもできますか?

在外公館申請の場合、本人が直接窓口に出向く必要があります。代理申請はできません。ただし、同居家族等が「申請書の提出のみ」を代行し、後日本人が本人確認のために出向くという運用をしている公館もあります。出国時申請の場合も本人申請が原則です。

Q5: 投票用紙の郵送料は自己負担ですか?

投票用紙の請求(選挙管理委員会への郵送)は自己負担です。選挙管理委員会からの投票用紙の送付は日本国が負担します。投票済み投票用紙の返送(海外→日本)も自己負担です。国際郵便(EMS推奨)の費用はASEAN各国から日本宛で約1,500〜3,000円です。

まとめ

今すぐやるべきこと: 在留届の提出(未提出の場合)、在外選挙人証の申請(未取得の場合)

選挙が公示されたらやること: 投票方法の選択(在外公館投票 or 郵便投票 or 帰国投票)、投票日程の確認

日頃から注意すべきこと: 在外選挙人証の保管、引っ越し時の在留届変更、在外公館からのお知らせ確認

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※ この記事の情報は2026年3月19日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。