この記事のポイント

📌 この記事は総務省・日本年金機構・国税庁の公式情報(2026年3月・令和7年法令基準)に基づいています。

海外移住手続きの全体タイムライン

時期 やるべきこと
出発3〜6ヶ月前 移住先のビザ申請、出国税の確認(該当者)、年金戦略の検討
出発1〜2ヶ月前 医療保険の切替え準備、銀行・証券口座の整理、確定申告の準備
出発14日前〜当日 海外転出届の提出、国民年金・健康保険の手続き、マイナンバーカードの処理
出発後〜3ヶ月以内 在外公館への在留届提出(義務)、現地の銀行口座開設
翌年3月15日まで 準確定申告(出発年の所得)※該当者のみ

1. 海外転出届(最重要)

概要

海外に1年以上居住する予定がある場合、現在の住所地の市区町村窓口に「海外転出届」を提出します。これにより住民票が抹消され、以下の義務がなくなります。

提出方法

項目 内容
届出先 住民票のある市区町村窓口
届出期限 出発の14日前〜出発日まで
必要書類 本人確認書類(パスポート等)、印鑑(不要な場合も)、出国予定日、海外居住予定住所
費用 無料

住民税の注意点

住民税は前年の所得に基づき翌年6月〜翌々年5月に課税されます。つまり、2026年1月〜12月の所得に対する住民税は、2027年6月〜2028年5月に支払います。

海外転出届を出しても、転出前年分の住民税は全額支払う義務が残ります。海外送金での支払いや、「納税管理人」を選任して代わりに支払ってもらう方法があります。

2. マイナンバーカードの取扱い

2023年5月の改正以降、海外転出後もマイナンバーカードの継続利用が可能になりました(本人確認書類として)。ただし、電子証明書機能は転出時に失効するため、e-Taxなどのオンライン手続きには使えなくなります。

転出届提出時にマイナンバーカードを持参し、窓口で継続利用の手続きを行ってください。

3. 国民年金の手続き

海外転出で資格喪失

海外転出届を出すと、国民年金(第1号被保険者)の強制加入資格を喪失します。年金保険料の支払い義務はなくなります。

会社員(第2号被保険者)の場合は、退職・会社経由での手続きが必要です。

海外任意加入(重要な選択肢)

20歳以上65歳未満の日本国籍者は、海外在住中も任意で国民年金に加入し続けることができます。

項目 内容
対象 20〜65歳の日本国籍者
保険料 月額17,510円(2025年度)
付加保険料 月額+400円(任意)
メリット 老齢年金の受給額を維持・増額。障害基礎年金の受給権を維持
手続き 市区町村窓口または年金事務所

判断基準

任意加入すべき人

任意加入しなくてもよい人

脱退一時金

日本の年金に6ヶ月以上加入し、老齢年金の受給権を持たず、日本を離れた外国人(日本人の非居住者含む)は、出国後2年以内に脱退一時金を請求できます。ただし、一度受け取ると加入期間がリセットされるため、将来の年金受給額に影響します。慎重に判断してください。

4. 健康保険の手続き

国民健康保険

海外転出届の提出により、国民健康保険の資格を喪失します。保険証は返却が必要です。

海外での医療は国際医療保険または現地の民間保険でカバーする必要があります。日本の国民健康保険は海外での医療をカバーしません(一部、海外療養費制度による事後精算は可能ですが、保険資格期間中のみ)。

会社の健康保険

会社員の場合、退職に伴い健康保険(組合健保・協会けんぽ)の資格を喪失します。任意継続(最大2年間)の選択肢もありますが、海外在住で使うメリットは限定的です。

5. 出国税(国外転出時課税制度)

概要

2015年7月1日に施行された制度で、金融資産合計1億円以上を保有する居住者が海外に転出する際、保有する有価証券等の含み益に対して所得税が課税されます。

対象者

以下の両方に該当する個人:

  1. 国外転出時に有価証券等(株式・投資信託・匿名組合契約等)の合計額が1億円以上
  2. 転出前10年以内に5年超日本に住所を有していた

対象資産

税率

含み益に対して所得税15.315%(復興特別所得税含む)。住民税は非課税(非居住者のため)。

納税猶予制度

実際に売却していなくても課税されますが、以下の猶予制度があります。

項目 内容
猶予期間 転出日から5年間(申請で10年間に延長可)
条件 ①転出前に税務署に申請、②対象資産を担保提供、③毎年12月31日時点の資産保有状況を届出
帰国時 5年以内(猶予10年の場合は10年以内)に帰国すれば、出国税は取消し

日本人への影響

金融資産1億円未満の方はこの制度の対象外です。しかし、株式投資や投資信託を積極的に行っている方は、資産評価額を正確に把握しておく必要があります。

6. 在留届の提出(出国後)

海外に3ヶ月以上居住する日本人は、現地の日本大使館・総領事館に在留届を提出する義務があります(旅券法第16条)。

項目 内容
届出先 在外日本大使館・総領事館
届出期限 現地到着後3ヶ月以内
届出方法 オンライン(ORRnet)https://www.ezairyu.mofa.go.jp/
必要情報 パスポート番号、現地住所、家族構成、緊急連絡先
費用 無料

在留届を提出すると、現地での緊急事態(自然災害・テロ等)の際に大使館から安全情報が届きます。

手続きチェックリスト

出発前(日本で行う手続き)

出発後(海外で行う手続き)

よくある質問(FAQ)

Q1: 海外転出届を出さないとどうなりますか?

住民税の課税が継続し、国民健康保険料の支払い義務も残ります。実質的に二重負担になるため、1年以上の海外居住を予定している場合は必ず提出してください。

Q2: 海外転出届を出した後、日本に一時帰国する場合はどうなりますか?

一時帰国の期間が数週間程度であれば、再転入届を出す必要はありません。ただし、帰国のたびに数ヶ月日本に滞在する場合は、税務上の居住者とみなされるリスクがあるため、183日ルールに注意してください。

Q3: 海外任意加入の年金保険料はどうやって支払いますか?

日本の銀行口座から自動引き落とし(口座振替)が一般的です。海外送金での支払いも可能です。手続きは転出前に市区町村窓口または年金事務所で行ってください。

Q4: 出国税を支払った後、その株式を海外で売却した場合、二重課税になりませんか?

出国税で課税された含み益は、将来の売却時に取得価額の調整が行われます。また、日本と租税条約を結んでいる国では二重課税の調整が可能です。詳細は税理士にご相談ください。

Q5: 配偶者が日本に残る場合、何か影響はありますか?

あなたが転出届を出しても、配偶者が日本に住民登録を残していれば、配偶者は引き続き住民税・健康保険の対象です。年金の第3号被保険者(会社員の配偶者)の場合、あなたの退職・転出に伴い第1号に切り替える手続きが必要です。

まとめ

✅ 自分でできること

🤝 専門家に相談すべきこと

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※ この記事の情報は2026年3月12日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。