📌 この記事の要点

タイのVAT(Value Added Tax)を完全解説。標準税率7%、登録義務(年間売上THB180万超)、外国人事業者の申告方法。

この記事のポイント

タイVATの基本構造

タイのVAT(Value Added Tax / ภาษีมูลค่าเพิ่ม)は、物品やサービスの各取引段階で課税される間接税です。日本の消費税と同様の仕組みですが、税率や課税範囲に違いがあります。

税率

区分 税率 備考
標準税率 7%(法定10%を軽減) 2026年9月30日まで延長(勅令による)
ゼロ税率(0%) 0% 輸出取引、国際輸送サービスなど
非課税(Exempt) N/A 未加工農産物、教育、医療、不動産賃貸(一定条件)、金融サービスなど

日本の消費税との主な違い

項目 タイVAT(7%) 日本の消費税(10%/8%)
標準税率 7% 10%(軽減税率8%)
軽減税率 なし(ゼロ税率または非課税) 食料品・新聞に8%
登録基準 年間売上THB 1,800,000超 課税売上1,000万円超
申告頻度 毎月 年1回(法人は年1回+中間)
インボイス制度 Tax Invoice発行義務あり 適格請求書等保存方式(2023年〜)
免税事業者 年間売上THB 1,800,000以下 課税売上1,000万円以下

VAT登録の義務と手続き

登録義務のある事業者

以下の条件に該当する事業者はVAT登録が義務です。

登録手続き

  1. 申請先: The Revenue Department(タイ歳入局)の管轄区税務署
  2. 申請書: VAT登録申請書(PP.01)
  3. 必要書類:
    • 法人登記簿謄本(DBD発行)
    • 代表者のパスポート・ワークパーミット
    • 事業所の賃貸契約書
    • 事業所の地図・写真
  4. 所要期間: 書類受理後7〜15営業日
  5. 登録費用: 無料

VAT登録番号

VAT登録が完了すると、13桁のVAT登録番号(Tax ID)が付与されます。この番号はすべてのTax Invoiceに記載が必要です。

Tax Invoice(税務インボイス)の要件

VAT登録事業者は、すべての課税取引についてTax Invoiceの発行が義務付けられています。

必須記載事項

  1. 「Tax Invoice」または「ใบกำกับภาษี」の表記
  2. 売主のVAT登録番号、名称、住所
  3. 買主の名称、住所、VAT登録番号(該当する場合)
  4. Tax Invoiceの番号と発行日
  5. 商品・サービスの内容、数量、単価
  6. VAT額(税抜価格と税額を区分表示)
  7. 合計金額(税込)

電子Tax Invoice(e-Tax Invoice)

タイ歳入局はe-Tax Invoice(電子インボイス)の普及を推進しており、一定規模以上の事業者にはe-Tax Invoiceの発行が推奨されています。XMLフォーマットでの電子署名付きインボイスを歳入局のシステムに送信します。

VAT申告と納付

申告スケジュール

項目 内容
申告頻度 毎月
申告期限 翌月15日まで(オンライン申告の場合、翌月23日まで)
申告書 PP.30(月次VAT申告書)
申告方法 歳入局のオンラインシステム(e-Filing)または紙面
納付方法 銀行振込、オンラインバンキング、税務署窓口

仕入税額控除(Input Tax Credit)

事業に係るVAT(Input Tax)は、売上に係るVAT(Output Tax)から控除できます。

VAT還付の手続き

仕入税額控除の結果、還付が発生した場合の手続きは以下の通りです。

項目 内容
還付申請期間 VAT申告書(PP.30)で毎月申請可能
還付審査期間 通常60日以内(税務調査がある場合は延長)
還付方法 銀行口座への振込、または次月以降のVATと相殺
輸出事業者の還付 ゼロ税率(0%)が適用されるため、仕入VATの全額還付が可能

e-Service VAT(海外デジタルサービス提供者向け)

2021年9月に施行されたe-Service VAT法により、タイの消費者にデジタルサービスを提供する海外事業者にもVAT登録・納付義務が課されています。

対象となるサービス

登録・申告方法

項目 内容
登録基準 タイからの年間売上THB 1,800,000超
登録方法 歳入局のオンラインポータル「SVE(Simplified VAT for E-service)」
申告頻度 毎月
税率 7%
仕入税額控除 不可(簡易課税方式)

旅行者のVAT還付(Tourist VAT Refund)

タイを訪れる外国人旅行者は、一定条件を満たす購入品についてVATの還付を受けることができます。

還付条件

還付手続き

  1. 購入時: 店舗でパスポートを提示し、PP.10(VAT還付申請書)を受領
  2. 出国時: 空港のVAT Refund Office(税関検査後)で商品の確認を受ける
  3. 還付: 空港のVAT Refund Counter(出国審査後)で現金、銀行小切手、またはクレジットカードへの返金で受領

還付額

日本人が知っておくべき注意点

よくある質問(FAQ)

Q1: タイのVAT 7%はいつまで適用されますか?

法定税率は10%ですが、1992年以降、勅令(Royal Decree)により7%に軽減されています。この軽減措置は定期的に延長されており、現在は2026年9月30日まで延長されています。過去30年以上にわたり7%が維持されているため、当面は7%が継続される見通しです。ただし、財政状況によっては将来的に引き上げの可能性もあります。

Q2: 日本からタイに商品を輸出する場合、VATはどうなりますか?

日本からの輸出は日本の消費税がゼロ税率(免税)となります。タイ側では輸入時にタイのVAT 7%が課されます。輸入VATは税関(Customs Department)で支払い、VAT登録事業者であれば仕入税額として控除可能です。タイの輸入関税とVATは別途計算されます。

Q3: フリーランスでタイで仕事をしている場合、VAT登録は必要ですか?

年間売上がTHB 1,800,000(約780万円)を超える場合はVAT登録が必要です。ただし、フリーランスとしてタイで合法的に仕事をするにはWork Permit(就労許可)が必要であり、ビザとWork Permitの取得が先決です。売上がTHB 1,800,000以下の場合はVAT登録は任意ですが、SBT(Specific Business Tax)やPIT(個人所得税)の申告義務は別途発生する場合があります。

Q4: タイのレストランで請求される「Service Charge 10%」はVATですか?

いいえ、Service Charge(サービス料)とVATは別物です。タイの多くのレストラン(特にホテル内レストラン)では、VAT 7%+Service Charge 10%が加算され、合計で表示価格の約17%が追加されます(いわゆる「++」表記)。メニュー価格が「net」と表記されている場合はVAT・サービス料込みの価格です。

Q5: タイのVAT還付(旅行者向け)はどのくらいの金額が戻ってきますか?

購入額の約5.5〜6.0%が実際の還付額です(7%のVATから手数料を差し引いた額)。例えば、THB 10,000(約43,500円)の買い物をした場合、VAT額はTHB 654(税抜THB 9,346の7%)で、手数料THB 100を差し引いたTHB 554(約2,400円)が還付されます。高額商品(ブランド品、宝石等)を購入する場合は還付額も大きくなるため、手続きする価値があります。

まとめ

自分でできること:

専門家に相談すべきこと:

確認すべきこと:

関連記事

タイ VAT 付加価値税
※ この記事の情報は2026年3月19日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。