この記事のポイント

📌 この記事はシンガポール人的資源省(MOM)の公式情報(2026年3月確認)に基づいています。

家族帯同ビザの種類と対象者

シンガポールで就労ビザを取得した場合、家族を帯同させる方法は複数あります。自分のビザカテゴリと家族関係によって、申請すべきビザの種類が異なります。

1. 扶養家族パス(Dependent’s Pass / DP)

対象:EP、S Pass、EntrePass保有者の配偶者(婚外カップルは対象外)と21歳未満の未婚子ども

DPはシンガポールで最も一般的な家族帯同ビザです。配偶者と子どもが別途ビザを取得する必要がなく、スポンサーの就労ビザと同期間の滞在が可能です。

重要な変更(2025年1月):従来はスポンサーの給与SGD4,000以上でDP申請が可能でしたが、2025年1月以降、スポンサーがEP保有の場合、給与がSGD6,000以上である必要があります。これはEP最低給与の引き上げに伴う変更です。

2. 長期訪問パス(Long-Term Visit Pass / LTVP)

対象:上記に該当しない家族関係。具体的には以下:

LTVP は「訪問」が名称ですが、長期滞在が可能です。ただしLTVPのみでは就労が認められず、別途申請が必要です。

3. LTVP+(シンガポール市民・PR配偶者専用)

対象:シンガポール市民またはPR(永住権)の配偶者と子ども

LTVP+は通常のLTVPより優遇されており、追加申請なしで就労可能で、永住権申請へのパスウェイがあります。

扶養家族パス(DP)完全ガイド

DPの基本要件

項目 条件
スポンサー EP、S Pass、EntrePass保有者
対象家族 法律上の配偶者、21歳未満の未婚子ども(養子含む)
必要給与 SGD6,000/月以上(EP保有者の場合)※2025年1月以降
費用 SGD225/年(≈27,900円)
処理期間 約3週間
有効期間 スポンサーのビザと同じ(最大2年)
更新 スポンサーのビザ更新に同期

DPで就労するための手続き

重要:DP保有者が就労するには、スポンサーの雇用主がMOM(人的資源省)に対して「Letter of Consent(同意書)」をDP申請時に添付する必要があります。ただし、この同意書の発行は無料です。

DP所有者が別企業で就労したい場合、その企業の人事部門が以下の手順で許可を取得します:

  1. MOMの公式フォーム(Letter of Consent)を取得
  2. スポンサーの雇用主に署名を依頼
  3. 新しい雇用主がMOMに提出
  4. MOMが許可を発行(通常1週間以内)

多くの場合、DP保有者が新企業で就職する際、その企業がこの手続きをサポートします。

DP申請の必要書類

  1. DP申請フォーム(EP Online システムから取得)
  2. パスポートコピー(有効期限6ヶ月以上)
  3. 結婚証明書(英語翻訳版)
  4. 出生証明書(子どもの場合、英語翻訳版)
  5. スポンサーのEP/S Pass/EntrePass コピー
  6. 給与証明書または契約書(スポンサーのもの)
  7. 写真(4x6cm、白背景)
  8. 健康診断報告書(MOM指定医による。費用SGD50〜100)

DP申請のステップバイステップ

  1. スポンサーが雇用主に確認:DP申請がビジネス要件に合致するか確認。雇用主がLetter of Consentを準備できるか確認
  2. 必要書類の準備:パスポート、出生証明書、結婚証明書等を英語翻訳済みで用意
  3. EP Online で申請:スポンサーがEP Onlineシステムにログインし、Dependent’s Pass セクションから申請
  4. 申請料の支払い:SGD225をオンラインで支払い(クレジットカード)
  5. MOMによる審査:通常3週間以内に承認または却下の通知
  6. DP カード受け取り:MOMから通知後、ICA(入国管理局)で受け取るか郵送

DP申請時の注意点

長期訪問パス(LTVP)完全ガイド

LTVP の基本要件

項目 条件
対象 被扶養者(親、障害児、事実婚パートナー等)
スポンサー要件 被扶養者を経済的に支援できること(給与目安SGD6,000以上)
申請料 SGD30(≈3,720円)の処理手数料のみ
処理期間 ケースバイケース(2〜6週間)
有効期間 通常1〜2年(最長で延長可能)
就労 LTVP単独では就労不可。就労希望の場合は別途Work Permit申請が必要

LTVP の対象者カテゴリ

1. 事実婚パートナー(Unmarried Partner)

シンガポール在住の外国人と同居する事実婚パートナー。以下の条件が必要:

2. 親・義両親(Parents / In-laws)

スポンサーの親または配偶者の親。以下の条件が必要:

3. 障害のある21歳以上の子ども

DP対象外年齢(21歳以上)の子どもが障害を有する場合、LTVP申請が可能。以下が必要:

4. その他の被扶養者

上記以外の被扶養者(祖父母、兄弟姉妹等)の場合、MOMの個別判断となります。経済的依存と緊密な家族関係の証明が必須です。

LTVP の申請手続き

LTVP申請はオンラインでのセルフサービス方式ではなく、紙面での申請またはMOM窓口での申請となります。

  1. 申請フォーム取得:MOM公式サイト(mom.gov.sg)から Form 8(Long-Term Visit Pass Application)をダウンロード
  2. 必要書類の準備:パスポート、関係証明書、経済支援の証明書類を英語に翻訳
  3. MOM窓口または郵送で申請
    • MOM Headquarters: 10 Kallang Road, Singapore 208718
    • または郵送: Ministry of Manpower, 10 Kallang Road, Singapore 208718
  4. 申請料支払い:SGD30(窓口または銀行振込)
  5. 面接(場合による):MOMが必要と判断した場合、申請者またはスポンサーの面接実施
  6. 結果通知:2〜6週間以内にメール・郵送で通知

LTVP取得後に就労する場合

LTVP保有者が就労希望の場合、**Work Permit(就労許可)**を別途申請します:

LTVP+(後述)と異なり、単なるLTVPでは自動的に就労権がないため、この手続きが必須です。

長期訪問パスプラス(LTVP+)

LTVP+ の対象と優位性

LTVP+はシンガポール市民またはPR(永住権)の配偶者・子どもに限定されたカテゴリです。通常のLTVPとの大きな違いは:

項目 通常のLTVP LTVP+
対象 被扶養者全般 シンガポール市民/PR の配偶者・子どものみ
有効期間 1〜2年 1〜2年
就労 別途Work Permit申請が必須 申請不要で就労可能
永住権への道 なし あり(3年以上保有で申請可能)
配偶者費用 SGD30 SGD30

LTVP+保有者は、新しい雇用主で就職する際にWork Permitを取得する必要がなく、**(事業主またはスポンサー企業がMOMに簡単な通知をするのみ)**で就労先を変更できます。

LTVP+ 申請の流れ

シンガポール市民/PRである配偶者またはスポンサーがMOMに申請:

  1. フォーム取得:MOMサイトから Long-Term Visit Pass+ Application Form をダウンロード
  2. 必要書類:結婚証明書(英語翻訳)、パスポート、配偶者のシンガポール市民/PR証のコピー
  3. MOM窓口または郵送で申請
  4. 申請料:SGD30
  5. 承認後、LTVP+カード取得

DP・LTVP・LTVP+ の比較表

項目 扶養家族パス(DP) 長期訪問パス(LTVP) LTVP+
対象 EP/S Pass/EntrePass保有者の配偶者・子ども(21歳未満) 事実婚、親、障害児、被扶養者 SG市民/PRの配偶者・子ども
スポンサー EP/S Pass/EntrePass保有者 経済的に自立した者 SG市民/PR
必要給与 SGD6,000/月以上 目安SGD6,000/月 特に制限なし
費用 SGD225/年 SGD30 SGD30
有効期間 スポンサーと同期(最大2年) 1〜2年(更新可能) 1〜2年(更新可能)
子どもの年齢制限 21歳未満 なし(障害児なら上限なし) なし
就労 Letter of Consent で可能 Work Permit別途申請が必須 申請不要で就労可
永住権への道 あり(DP→PR) なし あり(3年保有で申請可能)

EP(就労パス)の最新要件と家族帯同への影響

DPを理解するには、スポンサーとなるEPの最新要件を知ることが重要です。

2025年1月以降のEP最低給与引き上げ

シンガポール政府は段階的にEPの最低給与を引き上げています:

時期 EP最低給与 DP申請の必要給与 日本円換算
〜2024年8月 SGD4,500 SGD4,500 約558,000円
2024年9月〜 SGD5,000 SGD5,000 約620,000円
2025年1月〜 SGD5,600 SGD6,000 約744,000円
2026年以降 段階引き上げ予定 同期待 TBD

重要な注意:EP給与がSGD5,600でも、DP申請にはSGD6,000が必要という別ラインが設定されています。つまり、EP保有者全員がDP申請できるわけではなく、給与がSGD6,000以上である必要があります。

給与がSGD6,000未満でDP申請できない場合の選択肢

  1. S Pass で家族帯同:S PassはDP対象外ですが、大手シンガポール企業で給与が高い場合、DPの代替として扱われることもあります(要MOM相談)
  2. 配偶者が別途ビザ取得:配偶者がEP基準を満たす場合、配偶者自身がEP申請も可能
  3. LTVP での帯同:配偶者がLTVPで来シンガポール、別途就労許可取得

日本人が注意すべきポイント

給与がSGD6,000未満の場合の不利性

日本からシンガポール駐在・転職する場合、給与が日本での基準より低く設定されることがあります。例えば:

対策:シンガポール駐在配置の際、雇用契約交渉段階で「DP申請が可能なSGD6,000以上の給与」を条件として含める。

結婚証明書の英語翻訳

DP申請には結婚証明書の英語翻訳が必須です。日本で取得した戸籍謄本や婚姻届の英訳が必要。以下の方法があります:

  1. 公証役場で英文公証取得:日本の公証役場で戸籍謄本の英文公証を取得(費用:1,000〜3,000円、処理期間3〜5日)
  2. 大使館で英文翻訳証明取得:シンガポール日本大使館で翻訳証明を取得(費用:SGD30、処理期間1週間)
  3. プロの翻訳業者利用:認定翻訳業者による翻訳(費用:SGD50〜100)

推奨:シンガポール日本大使館での翻訳証明が最も確実かつ安価。

健康診断について

MOM指定医での健康診断が申請時に必須。シンガポール内科医により実施:

指定医は以下で確認可能:mom.gov.sg → Health Screening for Passes and Permits

シンガポール税務と日本の扶養控除の関係

DP保有者である配偶者がシンガポールで就労する場合、シンガポール税務上の報告と、日本の税務申告が複雑になります:

推奨:日本の税理士とシンガポール側の会計士に相談し、二重課税回避協定(Japan-Singapore Tax Treaty)を活用。

出生証明書の翻訳

子どもがいる場合、出生証明書の英語翻訳も必須。日本で取得した場合:

  1. 公証役場での英文公証:戸籍謄本と同様の手続きで取得
  2. シンガポール大使館での翻訳証明:SGD30程度
  3. 複数の子どもがいる場合:各自の出生証明書が必要(1人1件)

他の家族帯同制度との比較

項目 DP LTVP LTVP+ Visit Pass
対象 EP保有者の配偶者・子ども 事実婚・親・障害児等 SG市民/PR配偶者・子ども 観光客
滞在期間 最大2年 1〜2年 1〜2年 30日〜
就労 可能(同意書) 別途申請 申請不要 不可
家族統一性 スポンサーと連動 個別判断 スポンサーと連動 なし
コスト(年間) SGD225 SGD30 SGD30 無料

よくある質問(FAQ)

Q1: EPの給与がSGD5,600の場合、妻はDP申請できますか?

いいえ。2025年1月以降、DP申請にはスポンサーの給与がSGD6,000以上である必要があります。給与がSGD5,600の場合、妻はDP対象外です。代替案として以下が考えられます:

Q2: DP保有者がシンガポール内で転職する場合、新しい手続きは必要ですか?

DPそのものの更新は不要ですが、新しい企業での就労許可(Letter of Consent)が必要な場合があります。以下のケースで判断します:

Q3: DP保有者の子どもが21歳になったらどうなりますか?

21歳の誕生日を迎えると、DPは自動的に失効します。シンガポールに継続滞在希望の場合、以下の選択肢があります:

  1. 自身がEPを申請:本人が学位・職歴を満たしてEP申請
  2. Student Pass取得:シンガポール内の大学等に進学
  3. Visit Pass取得:観光ビザで滞在継続(就労不可)
  4. 帰国:最も一般的な選択

重要:事前準備が必要。21歳の3ヶ月前から代替ビザの申請準備を開始。

Q4: 事実婚(婚外カップル)でもDP申請できますか?

いいえ。DPは「法律上の配偶者」のみ対象です。事実婚パートナーはLTVP対象となります。LTVP申請には以下が必要:

処理期間はLTVPの方が長くなります(2〜6週間)。

Q5: 親(両親)をシンガポールに呼びたいのですが、どのビザを申請すべきですか?

親の帯同はLTVP対象です。以下の条件が必要:

1年目の申請後、更新により複数年の滞在も可能です。処理期間は2〜4週間程度。

Q6: DP・LTVPで取得した就労許可は、配偶者が別企業に転職する際に引き継がれますか?

いいえ。DP申請時に「Letter of Consent」が発行された場合、それは特定の雇用主に対してのみ有効です。転職時に新企業で就労するには、新企業から新たなLetter of Consentが発行される必要があります。

通常、この手続きは新企業の人事部門が処理します(無料、1週間以内)。

DPとシンガポール永住権(PR)申請への道

DP保有者がPR申請する際の有利性

DP保有期間はシンガポール居住実績としてカウントされます。PR申請では以下が評価されます:

PR申請のタイムライン例

時期 行動
1年目 EP取得、配偶者DP申請、シンガポール生活開始
2年目〜3年目 EP更新(通常2年)、DP更新
3年経過時点 PR申請検討(早期申請も可能だが3年推奨)
申請〜結果 2〜4ヶ月の審査期間

PR申請には弁護士・エージェントの利用が推奨されます。

DP・LTVP申請の実践的な流れ

DPパッケージの準備チェックリスト(配偶者帯同の場合)

子どもを含む場合の追加チェックリスト

LTVP(親帯同)パッケージの準備チェックリスト

シンガポールとマレーシア・タイのDP制度比較

家族帯同制度はASEAN各国で異なります。比較を参考に。

項目 シンガポール DP マレーシア(MM2H同伴) タイ(LTR同伴)
配偶者対象 EP給与SGD6,000以上 あり(RM1,500,000-2,500,000の資金条件) あり(給与THB80,000以上)
子ども対象 21歳未満 あり(21歳未満) あり(21歳未満)
親の帯同 LTVP(別プロセス) 可能(MM2H同伴) 不可
年間費用 SGD225 RM1,500-2,500(ビザ関連) THB2,800
就労 Letter of Consent で可能 就労禁止 限定的(許可制)

シンガポール DP は 就労が容易な点が他国との大きな差。マレーシア MM2H 同伴者は原則就労禁止ですが、シンガポール DP なら就労許可を取得できます。

まとめ

✅ 自分でできること

  1. 給与確認:雇用契約でEP・DPの条件(SGD6,000以上)が満たされているか確認
  2. 書類準備:結婚証明書、出生証明書の英文翻訳手配
  3. 健康診断予約:MOM指定医への予約、診断受診
  4. 情報収集:MOM公式サイトで最新情報確認
  5. EP Onlineアカウント作成:DP申請前の準備

🤝 専門家に相談すべきこと

  1. ビザ戦略:給与がSGD6,000未満の場合の代替案(配偶者EP申請、LTVP等)
  2. 税務整理:シンガポール税務申告と日本の税務申告の両立方針
  3. 翻訳認証:結婚証明書・出生証明書の公証・認証
  4. PR申請検討:3年以上滞在予定の場合の永住権取得戦略
  5. 永住権申請時:弁護士・エージェント利用(成功率向上)

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※ この記事の情報は2026年3月12日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。