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PVIP(Premium Visa Programme)は、マレーシア政府が高純資産個人(HNWI)を対象に2022年から提供する20年間の長期居住ビザです。MM2Hよりも高い資産要件が課される一方、ビザの有効期間が大幅に長いのが特徴です。マレーシア移民局(Jabatan Imigresen Malaysia)の公式情報に基づき、申請条件・費用・手続きを解説します。

PVIPの概要

PVIPは2022年10月に開始されたプログラムで、MM2H(Malaysia My Second Home)のシルバー・ゴールドカテゴリの後継として位置づけられています。MM2Hが観光・芸術・文化省(MOTAC)管轄であるのに対し、PVIPは移民局(IMI)が直接管轄しています。

項目 内容
プログラム名 Premium Visa Programme(PVIP)
管轄 マレーシア移民局(IMI)
開始時期 2022年10月
ビザ有効期間 20年間(1回更新可能)
申請方法 IMIオンラインポータル
処理期間 約30日(書類完備後)

申請条件(要件)

PVIPの申請には以下の3つの財務要件をすべて満たす必要があります。

財務要件

要件 金額 日本円換算(目安)
月額オフショア収入 RM 40,000以上 約160万円/月
マレーシア銀行の定期預金 RM 1,000,000 約4,000万円
流動資産証明 RM 3,000,000以上 約1億2,000万円

「オフショア収入」とはマレーシア国外からの収入を意味します。給与、配当、賃貸収入、事業収入などが対象です。

定期預金RM100万は1年後に50%まで引き出し可能で、不動産購入・子供の教育費・医療費などの承認された用途に使えます。

その他の要件

扶養家族

配偶者および21歳未満の未婚の子供を扶養家族として帯同できます。

費用

PVIPの申請費用はMM2Hと比較して非常に低額です。

費目 金額(RM) 日本円換算
申請・処理費(本人) RM 200 約8,000円
ビザステッカー費(本人・20年) RM 500 約20,000円
ビザステッカー費(扶養家族1名) RM 500 約20,000円
合計(本人のみ) RM 700 約28,000円

ビザ申請費自体は安いですが、定期預金RM100万(約4,000万円)の資金拘束が実質的なコストとなります。

必要書類

書類 備考
パスポート 有効期限21年以上、または残存2年以上
銀行残高証明 / 定期預金証明 マレーシア銀行のRM100万定期預金
オフショア収入証明 直近3ヶ月の給与明細・配当証明・賃貸収入証明等
流動資産証明 銀行残高・投資ポートフォリオ(RM300万以上)
医療保険証明 マレーシアをカバーする保険
健康診断書 登録クリニック・病院発行
無犯罪証明書 出身国・居住国
証明写真 白背景

MM2Hとの比較

PVIPとMM2Hは同じマレーシア長期滞在ビザですが、対象層と条件が大きく異なります。

比較項目 PVIP MM2H(2021年改定後)
管轄 移民局(IMI) 観光・芸術・文化省(MOTAC)
ビザ有効期間 20年 5年(更新可)
定期預金 RM 1,000,000 RM 500,000〜1,000,000
月収要件 RM 40,000(オフショア) RM 40,000(オフショア)
流動資産 RM 3,000,000 RM 1,500,000
年間滞在義務 なし 90日以上
不動産購入 一部州で優遇あり 一部州で優遇あり
申請費用 RM 700 RM 5,000+
対象層 超富裕層(HNWI) 富裕層〜中間富裕層

PVIPは定期預金と流動資産の要件がMM2Hより高いものの、20年間の長期ビザで年間滞在義務がない点が大きなメリットです。

申請手順

ステップ1:事前準備

財務要件を確認し、マレーシアの銀行に定期預金口座を開設する準備をします。HSBCやMaybankなどの大手銀行が対応しています。

ステップ2:書類の準備

無犯罪証明書は取得に1〜2ヶ月かかるため、早めに申請してください。日本の場合は警察庁に「渡航証明」を申請します。

ステップ3:オンライン申請

IMIのオンラインポータル(myvisa.imi.gov.my)から申請します。

ステップ4:審査・承認

書類完備後、約30日で審査結果が出ます。承認後、6ヶ月以内にマレーシアに入国する必要があります。

ステップ5:ビザ発給

マレーシア入国後、パスポートにPVIPビザステッカーが貼付されます。

日本人が知っておくべき注意点

税務上の影響

PVIPでマレーシアに長期滞在する場合、マレーシアの税務居住者となる可能性があります。マレーシアは2025年から一部の海外送金所得に課税を開始しており、オフショア収入のマレーシアへの送金には注意が必要です。

日本側では、出国前の「国外転出時課税(出国税)」の確認が必須です。詳細は「日本の出国税完全ガイド」をご覧ください。

定期預金RM100万の資金拘束

約4,000万円の定期預金が最低1年間拘束されます。金利はマレーシアの定期預金金利(2026年時点で約3〜4%)が適用されますが、為替リスク(MYR/JPY)を考慮する必要があります。

MM2Hとの使い分け

資産要件を満たせるならPVIPが有利です。20年間の安定した長期滞在権に加え、年間滞在義務がないため、日本とマレーシアを自由に行き来する「デュアルベース」のライフスタイルに適しています。

よくある質問(FAQ)

Q1: PVIPでマレーシアで就労できますか?

PVIPは居住ビザであり、就労許可は含まれていません。マレーシア国内で就労する場合は別途就労許可が必要です。ただし、マレーシア国外の企業からのリモートワーク(オフショア収入)は制限されません。

Q2: PVIP保有者は不動産を購入できますか?

はい。外国人の不動産購入に適用される最低価格基準に従って購入可能です。一部の州ではPVIP保有者向けの優遇措置がある場合があります。詳細は「マレーシア不動産購入ガイド」をご覧ください。

Q3: PVIPの申請にエージェントは必要ですか?

必須ではありませんが、書類準備や銀行口座開設の手続きを考えるとエージェントの利用を推奨します。マレーシアの移民コンサルタントの費用は通常RM10,000〜30,000程度です。

Q4: PVIPとタイランドエリートカードはどちらが良いですか?

タイランドエリートカードは費用60〜200万バーツ(約280〜950万円)で5〜20年の滞在権ですが、定期預金の拘束はありません。PVIPは約4,000万円の定期預金が必要ですが、ビザ申請費自体は安く、定期預金には金利がつきます。居住先の選好や税務戦略により判断してください。

Q5: 20年のビザ期間が終了したらどうなりますか?

PVIPは1回更新可能です。更新条件は申請時と同様の財務要件を満たすことが求められます。

まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと

自分でできること

移民コンサルタントに相談すべきこと

税理士・FPに相談すべきこと

2026年3月時点の情報です。PVIPの条件は変更される場合があります。最新情報はマレーシア移民局の公式サイトでご確認ください。お問い合わせ:pvip@imi.gov.my / +60-3-8000-8000

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※ この記事の情報は2026年3月13日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。