この記事のポイント
- ASEAN主要6カ国全てに移転価格税制が導入済み。文書化要件は国により異なる
- BEPS Action 13に基づく3層構造の文書化(マスターファイル・ローカルファイル・CbCR)
- **APA(事前確認制度)**の活用で二重課税リスクを事前に回避
ASEAN各国の移転価格税制比較
| 項目 | シンガポール | マレーシア | タイ | インドネシア | ベトナム | フィリピン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TP法制化 | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
| ローカルファイル | 任意(推奨) | 義務 | 義務 | 義務 | 義務 | 義務 |
| マスターファイル | 任意 | 義務 | 義務 | 義務 | 義務 | 任意 |
| CbCR | 義務(条件付) | 義務 | 義務 | 義務 | 義務 | 義務 |
| CbCR閾値 | SGD 11.25億 | MYR 30億 | THB 28億 | IDR 11兆 | VND 18兆 | PHP 55億 |
| ペナルティ | 5%加算 | 追徴+罰金 | 追徴+1.5%/月 | 追徴+48%罰金 | 追徴+罰金 | 追徴+25〜50% |
文書化のポイント
3層構造の文書化
- マスターファイル:グループ全体の事業概要・TP方針
- ローカルファイル:現地法人の個別取引分析・独立企業間価格の検証
- CbCR(国別報告書):国別の収入・利益・税額・従業員数等
APA(事前確認制度)の活用
APA(Advance Pricing Arrangement)は税務当局と事前に移転価格の算定方法を合意する制度です。二国間APAを締結することで、二重課税のリスクを事前に排除できます。
APA申請の目安
- 関連者間取引が年間10億円以上
- 利益率の変動が大きい事業
- 過去にTP更正を受けた経験がある場合
日本企業の実務上の注意点
- 機能分析の充実:現地法人の果たす機能・負担するリスク・使用する資産を正確に文書化
- ベンチマーク分析:現地の比較対象企業データベース(BvDのOrbis等)を使用
- 同時文書化:申告期限までにローカルファイルを完成させる
- **相互協議(MAP)**の活用:二重課税が発生した場合の救済手段
まとめ
ASEAN各国の移転価格税制は厳格化が進んでいます。グループ全体の一貫したTP方針を策定し、各国の要件に合わせた文書化を早期に整備しましょう。
※ この記事の情報は2026年3月22日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。