SST(売上税・サービス税)とは

マレーシアのSST(Sales and Service Tax)は、売上税(Sales Tax)サービス税(Service Tax)の2種類の間接税を組み合わせた制度です。日本でいう消費税に相当する間接税ですが、仕組みは大きく異なります。

日本の消費税が「ほぼすべての取引」を対象とする包括型であるのに対し、マレーシアのSSTは特定の物品・サービスのみを対象とする選択型の間接税です。これは日本人経営者にとって最初に理解すべき根本的な違いです。

公式情報源:Royal Malaysian Customs Department(RMCD)公式ポータル mysst.customs.gov.my


税率・条件・費用(具体的な数字)

売上税(Sales Tax)

区分 税率
一般物品(課税対象製品) 10%(2025年税率変更後)
特定物品(食品・建材等) 5% または 特定税率
石油・鉱物等 個別税率

⚠️ 2025年の税率変更(Transition of Sales Tax Rate Changes 2025)により、一部品目の税率が改定されています。最新のHS Codeおよび税率は公式サイトの「Find HS Code」機能で確認必須。

サービス税(Service Tax)

区分 税率
一般課税サービス 8%(2024年3月1日より従来6%から引上げ)
飲食・宿泊サービス等 6%
デジタルサービス(海外事業者含む) 8%

登録義務が生じる売上高の閾値

税の種類 年間売上高の閾値
売上税(Sales Tax) RM 500,000(約1,500万円相当)
サービス税(Service Tax) RM 500,000(約1,500万円相当)

この閾値を超えた場合、登録が義務となります。

2025年のサービス税対象範囲拡大

2025年より「Expansion of Service Tax Scope 2025」が施行され、以下が新たに課税対象に追加されました:

IT企業・医療・ウェルネス関連事業を展開する日本人経営者は特に注意が必要です。


申請・登録の手順

MySSTポータル(mysst.customs.gov.my)を通じてオンラインで登録します。

ステップ1:登録義務の確認

ステップ2:MySSTポータルへのアクセス

ステップ3:必要書類の準備

ステップ4:オンライン申請の提出

ステップ5:登録完了・番号取得

ステップ6:定期申告と納付


日本との違い・対比(重要)

比較項目 マレーシア SST 日本 消費税
税の構造 売上税+サービス税(2本立て) 消費税(単一)
標準税率 売上税:10%、サービス税:8% 標準:10%(うち地方2.2%)
軽減税率 特定物品:5% 軽減:8%(うち地方1.76%)食品等
課税範囲 特定物品・特定サービスのみ ほぼ全ての取引
仕入税額控除 なし(シングルステージ課税) あり(多段階課税・インボイス制度)
登録義務の閾値 年間 RM 500,000(約1,500万円) 前々年度課税売上 1,000万円
申告頻度 2ヶ月ごと 原則年1回(中間申告あり)
デジタルサービス課税 あり(8%) あり(10%・リバースチャージ方式)

最も重要な違い:「仕入税額控除がない」

日本の消費税は多段階課税で、各段階で支払った消費税を仕入税額控除として差し引く仕組みです(インボイス制度)。一方、マレーシアのSSTはシングルステージ課税であり、仕入段階での税額控除は基本的に存在しません

つまり、製造業者が原材料に支払ったSSTを消費者への販売価格に転嫁するという単純な構造であり、事業者間取引(BtoB)では二重課税が生じる場合があります。この点が日本の消費税との最大の構造的違いです。


日本人が注意すべきポイント

⚠️ 注意点①:仕入税額控除の概念が通用しない

日本の消費税に慣れた経営者は「払った税は後で戻ってくる」と思いがちですが、SSTにその仕組みはありません。原価計算・価格設定の段階からSSTコストを織り込む必要があります。

⚠️ 注意点②:2025年の拡大対象を見落とす危険

2025年よりITサービスおよびヘルスケアサービスが新たに課税対象に追加されました。既存のIT系・医療系事業者が登録義務を認識しないまま事業継続するケースが想定されます。自社の事業がサービス税の対象になったか否かを2025年基準で再確認してください。

⚠️ 注意点③:申告期限はわずか30日

日本の消費税申告は年1回(原則)ですが、SSTは2ヶ月ごとに30日以内という短いサイクルです。会計処理体制が整っていないと期限超過によるペナルティリスクがあります。

⚠️ 注意点④:インボイス記載要件

SST登録事業者はインボイス(請求書)にSST登録番号の記載が義務付けられています。日本のインボイス制度(適格請求書)と同様の概念ですが、控除目的ではなく証憑・コンプライアンス目的である点が異なります。

⚠️ 注意点⑤:デジタルサービスの取り扱い

海外(日本含む)からマレーシア向けにデジタルサービスを提供する場合、Non-Registrant: Imported Serviceとして申告義務が生じる場合があります。SaaS・オンラインコンテンツ・クラウドサービスを日本からマレーシアに提供している経営者は要確認です。


まとめ・次のアクション

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この記事はマレーシア売上税・サービス税(SST)の公式情報を基に作成しています。法律・税制は変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

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※ この記事の情報は2026年3月14日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。