マレーシアSST(売上税・サービス税)とは

SST(Sales and Service Tax)は、マレーシアで2018年9月1日に導入された間接税制度です。かつてのGST(物品サービス税)に代わるものとして施行され、「売上税(Sales Tax)」と「サービス税(Service Tax)」という2つの独立した税が組み合わさっています。

管轄官庁はマレーシア王立税関局(Royal Malaysian Customs Department)で、公式ポータルは MySSTサイト(mysst.customs.gov.my) にて情報・申請管理が行われています。


税率・条件・費用(具体的な数字)

売上税(Sales Tax)

区分 税率
一般物品(製造業者・輸入業者) 10%
特定品目(食料品・建材など) 5%
石油・特定品目 特定税率(品目別)
非課税品目 0%

サービス税(Service Tax)

区分 税率
一般サービス(飲食・宿泊・専門サービスなど) 8%
特定サービス(金融・物流など) 6%
デジタルサービス(海外事業者からの提供) 8%

登録・申告・納付の手順

STEP 1:登録要否の確認

STEP 2:新規登録(New Registration)

  1. MySSTポータル(mysst.customs.gov.my)にアクセス
  2. 「New Registration」セクションから該当する税種(Sales Tax / Service Tax)を選択
  3. 事業者情報・業種・売上規模等を入力
  4. 必要書類をアップロードし、送信
  5. 登録承認後、登録番号が発行される

STEP 3:インボイス発行(Issuing Invoices)

STEP 4:申告・納付(Return & Payment)

STEP 5:免除申請が必要な場合


日本との違い・対比

日本の消費税との主要な差異を整理します。

比較項目 マレーシア SST 日本 消費税
制度の構造 2税構造(売上税+サービス税) 1税構造(消費税+地方消費税)
標準税率 売上税10% / サービス税8% 10%(うち地方消費税2.2%)
軽減税率 売上税5%(特定品目) 8%(食料品・新聞等、うち地方消費税1.76%)
課税の仕組み シングルステージ税(製造・輸入段階のみ) 多段階課税(各取引段階で課税・仕入税額控除)
仕入税額控除 なし(売上税は製造段階のみで完結) あり(インボイス制度による控除)
デジタルサービス課税 あり(8%) あり(プラットフォーム課税制度)
申告頻度 隔月(2ヶ月ごと) 原則年1回(中間申告あり)
法人税との関係 法人税とは完全に独立した別制度 消費税と法人税(中小企業:15%、大企業:23.2%)は別制度

日本でいう「消費税」に最も近いのはサービス税(8%)ですが、仕入税額控除がない点・製造段階課税である売上税の仕組みは日本の消費税とは根本的に異なります。

日本の消費税は「取引の各段階で課税し、事業者が仕入税額控除を使って自己負担分のみ納税する」多段階課税方式ですが、マレーシアの売上税は「製造業者・輸入業者の段階で一度だけ課税する」シングルステージ方式です。このため、中間流通段階の事業者は売上税の登録義務を持たないケースが多く、日本の消費税申告に慣れた経営者は「自社は課税対象外だ」と誤解するリスクがあります。


日本人が注意すべきポイント

① 「消費税と同じ」と思わない

日本の消費税は全事業者が基本的に関与しますが、SSTの売上税は製造業者・輸入業者が主な対象です。小売業・卸売業のみを行う場合、売上税の登録義務がないケースもあります。ただしサービス業は別途サービス税の確認が必要です。

② 2025年制度変更を必ず確認する

2025年に「売上税率の変更に関する移行措置」および「サービス税課税範囲の拡大」が実施されました。従来の課税区分がそのまま適用されない品目・サービスが存在するため、事業開始・変更時には最新のFAQおよびポリシー文書(Sales Tax Policy No. 1/2026、Service Tax Policy等)を参照する必要があります。

③ デジタルサービスを日本からマレーシア向けに提供する場合

日本拠点からマレーシアの顧客に向けてデジタルサービス(SaaS・コンテンツ配信等)を提供する場合、マレーシア国内に拠点がなくてもサービス税(8%)の申告・納税義務が生じる可能性があります。MySSTの「Non-Registrant: Imported Service」制度の対象となるかを確認してください。

④ ペナルティは厳格

申告漏れ・期限超過にはペナルティが設けられています。日本の消費税申告と異なり、隔月申告が基本のため、経理サイクルの調整が必要です。

⑤ 免税・免除制度の活用

製造業者向けの免除申請(Schedule A・B・C3・C4)が存在します。特定の原材料・設備については売上税が免除されるケースがあるため、製造業で進出する場合は必ず確認してください。


まとめ・次のアクション


【ブロック1: 自分でできるステップチェックリスト】


以下は、公式サイトだけでは判断が難しく、自社の状況によって答えが異なる論点です:


また、デジタルビジネスでマレーシア市場に参入を検討している方には、**「マレーシアのデジタルサービス税(DST)登録手順と日本企業の対応策」**が参考になります。日本拠点のまま課税対象になるケースを具体的に解説しています。


この記事はマレーシア売上税・サービス税(SST)の公式情報を基に作成しています。法律・税制は変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

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※ この記事の情報は2026年3月13日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。