マレーシア個人所得税(確定申告)とは

マレーシアの個人所得税は、雇用所得・事業所得・配当・賃料・ロイヤリティ・年金などを課税対象とする累進課税制度です。日本でいう「所得税の確定申告」に相当しますが、申告フォームが所得の種類によって細かく分かれている点が大きな特徴です。

マレーシアの税務当局は LHDN(Lembaga Hasil Dalam Negeri Malaysia)/英語名IRB(Inland Revenue Board of Malaysia) であり、すべての申告・納税手続きは公式ポータル MyTax(https://mytax.hasil.gov.my/) を通じてオンラインで完結できます。


税率・申告条件・重要な数字(具体的数字)

申告フォームと提出期限(Year Assessment 2025 / 2026年提出)

フォーム対象者e-Filing開始日提出期限目安
Form BE給与所得者(居住者)2026年3月1日2026年4月末(通常30日以内)
Form B事業所得のある居住者2026年3月1日2026年5月末
Form E雇用主(法人・個人事業主)2026年3月1日
Form M非居住者個人2026年3月1日
Form Pパートナーシップ2026年3月1日

※LHDN公式「Return Form (RF) Filing Programme For the year 2026」より。

居住者・非居住者の判定(183日ルール)

マレーシアでは、暦年(1月1日〜12月31日)に 183日以上 マレーシアに滞在した個人が「税務上の居住者」となり、累進税率が適用されます。183日未満の場合は非居住者扱いとなり、一般的に フラット税率30% が適用されます。

月次源泉徴収(MTD / PCB)

給与所得者は毎月 MTD(Monthly Tax Deduction) により雇用主が税額を源泉徴収します。年末に過不足が生じた場合、申告により還付または追加納税が発生します。なお、雇用主から CP38通知 が届いた場合は、MTDでは不足した税額を追加で分割徴収されます。


申告・登録の手順(e-Filingフロー)

STEP 1:MyTaxアカウントの準備

STEP 2:申告フォームの選択

STEP 3:所得・控除の入力

STEP 4:税額の確認と還付口座の登録

STEP 5:申告書の送信と確認

STEP 6:納税期限の厳守


日本との違い・制度対比

個人所得税の比較

比較項目マレーシア日本
課税方式累進課税(居住者)/ フラット30%(非居住者)累進課税(5〜45%)+ 住民税10%
申告ポータルMyTax(e-Filing)e-Tax(国税電子申告)
給与所得者の申告義務原則申告必要(MTDで完結する場合あり)年末調整で完結する場合が多い
申告期間2026年3月1日〜(Form BE:4月末、Form B:5月末)2月16日〜3月15日(固定)
源泉徴収制度MTD(Monthly Tax Deduction)=毎月控除源泉徴収+年末調整
還付方法銀行口座へのEFT振込銀行口座振込または郵便
居住者判定183日以上1月1日現在の住所(原則)
税務当局LHDN / IRB国税庁(NTA)

法人税の比較

比較項目マレーシア日本(国税庁公式)
中小企業の優遇税率年課税所得RM60万以下:17%(一般的)年800万円以下の部分:15%(資本金1億円以下等の法人)
中小企業以外の税率一般:24%年800万円超:23.2%
グループ通算制度別途規定ありコード5900参照(令和4年4月1日以降)
申告方式自己査定方式(Self-Assessment)申告納税方式

※日本の法人税率は国税庁No.5759「法人税の税率」(令和7年4月1日現在法令等)に基づく。

消費税・間接税の比較

比較項目マレーシア(SST)日本(消費税・国税庁No.6101)
主な間接税売上税(Sales Tax)+サービス税(Service Tax)消費税(標準税率10%、軽減税率8%
課税方式シングルステージ(製造段階課税)多段階課税(各取引段階)
GSTの有無2018年にGST廃止、SSTに戻すGSTなし(消費税として存在)
地方税部分なし標準税率10%のうち2.2%が地方消費税、軽減税率8%のうち1.76%が地方消費税

日本人が注意すべきポイント

⚠️ 注意点1:「税はボーンバイエンプロイヤー」欄の誤チェック

2026年3月18日のLHDN公式発表によると、2025年度の申告書(BNCP)で 「Cukai ditanggung oleh majikan(Tax borne by employer)=雇用主が税を負担」 欄を誤ってチェックした納税者が多発し、還付が受け取れない事態が生じています。日本の年末調整ではこのような選択欄は存在しないため、マレーシア特有の項目として特に注意が必要です。LHDNは「修正申告書の提出は不要」と発表していますが、還付が止まっている場合は個別対応が必要です。

⚠️ 注意点2:Form BEとForm Bの混同

日本の確定申告は基本的にフォームが統一されていますが、マレーシアでは副業・フリーランス収入がある場合はForm BEではなくForm Bを選択しなければなりません。Form Bの期限は5月末と1か月以上遅いため、間違えたフォームで早期提出してしまうケースがあります。

⚠️ 注意点3:還付口座の未登録・誤登録

日本の確定申告と異なり、マレーシアでは還付はEFT(電子資金移転)のみです。口座番号の未登録・誤登録があると還付が止まります。MyTax上で事前に正確な銀行口座を登録してください。

⚠️ 注意点4:出国停止(Stoppage Order)の存在

日本にはない制度として、未納税額がある場合にマレーシア出国を禁止する**Stoppage Order(Section 104)**があります。法人の取締役である日本人駐在員・経営者は、会社の未納税額に対しても個人として出国停止の対象となるため、特に注意が必要です。

⚠️ 注意点5:スキャム(詐欺)に注意

LHDNは公式サイト上で税務・金融詐欺への警告を発しています。電話・SMS・メール・郵便で個人情報や支払いを求められた場合は、必ずLHDNのコンタクトセンター(03-8911 1000)または公式フィードバックフォームで確認してください。絶対に不審な第三者に情報を開示しないでください。

⚠️ 注意点6:デジタルノマド・リモートワーカーの居住者判定

183日ルールは実際の滞在日数で判定されます。複数国を行き来するデジタルノマドは、マレーシア国内滞在日数のカウントを正確に記録しておく必要があります。183日を超えれば居住者として累進課税、超えなければ非居住者として一律課税が適用される可能性があります。


まとめ・次のアクション


【ブロック1: 自分でできるステップチェックリスト】


【ブロック2: 自分では調べにくい・状況によって異なること】

以下のような状況依存の判断は、公式サイトだけでは確認が難しいケースです:


🔍 あなたの状況に合わせた個別調査

「自分のケースはどうなる?」という疑問は、記事では答えきれないことがほとんどです。

ASEAN-JP代理調査サービスでは、あなたの具体的な状況(在留日数・事業内容・国籍など)をヒアリングして、関連する公式情報を調べてお答えします。

プラン内容料金
スポット調査疑問1件を48時間以内に調査・回答$5
まとめて調査疑問3件まとめて調査$12

調査を依頼する → 無料で質問する


この記事はマレーシア内国歳入庁(LHDN/IRB)の公式情報を基に作成しています。法律・税制は変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

マレーシア 所得税 個人所得税 税制 確定申告
※ この記事の情報は2026年3月19日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。