マレーシアの所得税申告(e-Filing)とは

マレーシアの所得税は、雇用所得・事業所得・配当・家賃・ロイヤリティ・年金・その他所得に対して課税される税金です。課税・徴収・還付を一元管理しているのが**マレーシア内国歳入庁(Lembaga Hasil Dalam Negeri Malaysia/略称:LHDN または IRB)**で、公式ポータルサイトは https://www.hasil.gov.my/ です。

日本でいう「国税庁」に相当する機関がLHDNであり、日本の「e-Tax(電子申告)」に相当するのがマレーシアの**e-Filing(MyTaxポータル経由)**です。

申告の中心となるプラットフォームは MyTax(https://mytax.hasil.gov.my/) で、PINナンバーの取得・申告書の提出・納税・還付状況の確認・納税口座の照会(e-Lejar)まで、すべてオンラインで完結します。


税率・条件・費用(具体的な数字)

LHDNの公式情報(2026年3月時点)をもとに整理します。

課税対象となる所得の種類

申告フォームの種類と対象者

フォーム 対象者 申告開始日
Form E 雇用主(法人・個人事業主が従業員分を提出) 2026年3月1日
Form BE 居住者個人(雇用所得のみ) 2026年3月1日
Form B 居住者個人(事業所得あり) 2026年5月1日
Form M 非居住者個人 2026年3月1日
Form BT / MT 知識労働者・特定ステータス保有者 2026年3月1日
Form P パートナーシップ 2026年3月1日
Form TF / TP 信託・個人(追加) 2026年3月1日

📌 出典:マレーシア内国歳入庁(LHDN)公式サイト https://www.hasil.gov.my/、Return Form (RF) Filing Programme For the Year 2026

還付(Bayaran Balik)スケジュール

納税を怠った場合のペナルティ


申告・登録の手順(e-Filing ステップバイステップ)

STEP 1:MyTaxアカウントの準備

STEP 2:申告書フォームの選択

STEP 3:所得・控除情報の入力

STEP 4:MTD(月次源泉徴収)の確認

STEP 5:申告・納付の完了

STEP 6:還付・納税状況の確認


日本との違い・対比

マレーシアと日本の申告制度・税制を主要指標で比較します。

申告制度の対比

項目 マレーシア 日本
申告窓口 LHDN(MyTaxポータル) 国税庁(e-Tax)
給与所得者の申告開始 毎年3月1日 毎年2月16日
給与所得者の申告期限 4月末(e-Filingの場合、例年) 3月15日
事業所得者の申告 Form B(5月1日開始) 青色・白色申告(2月16日〜3月15日)
源泉徴収制度 MTD(Monthly Tax Deduction) 源泉徴収(年末調整)
電子申告ツール MyTax / e-Filing e-Tax
還付方法 EFT(銀行振込) EFT(銀行振込)

法人税率の対比

項目 マレーシア 日本(国税庁公式)
中小法人(年間課税所得の下限部分) 17%(課税所得RM600,000以下の部分) 15%(年800万円以下の部分、資本金1億円以下等の条件あり)※令和7年4月1日以後開始事業年度より17%へ改正予定
一般法人の標準税率 24% 23.2%

※日本の法人税率は国税庁「No.5759 法人税の税率」(令和7年4月1日現在法令等)に基づく。日本では資本金1億円以下等の中小法人の年800万円以下の部分に15%(令和7年4月1日以後開始事業年度より一部17%へ)が適用される。マレーシアの詳細な累進税率はLHDN公式サイトを参照のこと。

消費税・間接税の対比

項目 マレーシア 日本(国税庁公式)
一般消費税 なし(GSTは2018年に廃止) 消費税10%(うち地方消費税2.2%)
軽減税率 なし(SST:売上サービス税が一部品目に適用) 8%(うち地方消費税1.76%)飲食料品等に適用
間接税の形態 SST(Sales and Services Tax) 消費税(国税+地方消費税)

※日本の消費税率は国税庁「No.6101 消費税の基本的な仕組み」(令和7年4月1日現在法令等)に基づく。

→ 日本人にとって重要なポイント: マレーシアには日本の消費税に相当する全品目への一律課税制度が現存しないため、日本と同じ感覚で「売上に10%上乗せ」という処理を行うと誤りになります。


日本人が注意すべきポイント

⚠️ 注意点①:居住者・非居住者の判定(183日ルール)

マレーシアの税法上、1暦年に183日以上マレーシアに滞在した場合に「居住者(Tax Resident)」とみなされ、段階的な累進税率が適用されます。183日未満の場合は「非居住者」として申告フォームが異なり(Form M)、税率も変わります。日本の住民税・所得税との二重課税問題とも関連するため、在留日数の正確な把握が不可欠です。

⚠️ 注意点②:出国停止命令(Stoppage Order)は日本にない制度

日本には未払い税金を理由とした出国禁止制度は原則存在しませんが、マレーシアでは所得税法第104条により、法人の未払い税額について会社取締役が個人的責任を負い、出国を停止される場合があります。経営者・取締役として登記している日本人は特に注意が必要です。

⚠️ 注意点③:銀行口座情報の登録ミスで還付が遅延

還付はEFTのみで行われます。MyTaxに登録する銀行口座番号を誤ると還付が遅延・不能になります。LHDNは公式に「有効かつ正確な口座番号の登録」を呼びかけています。

⚠️ 注意点④:フィッシング詐欺・税務詐欺に注意

LHDNは公式サイト上で**SCAM ALERT(詐欺警告)**を常時掲載しています。

⚠️ 注意点⑤:CP38通知書への対応

CP38はMTD(月次源泉徴収)で清算しきれなかった税額残高を雇用主経由で追加徴収するための通知書です。日本の「年末調整の追加徴収」に近い性質ですが、金額が大きくなる場合があるため、受領時は内容を必ず確認してください。

⚠️ 注意点⑥:GlobalMinimumTax(GMT)への対応(経営者向け)

LHDNのトップページにはGlobal Minimum Tax(GMT)への対応ページが設けられています。年間売上高が一定規模以上のグループ企業(概ねグループ連結売上€7.5億以上)は、マレーシアでも最低15%の法人税が適用される可能性があります。日本親会社・マレーシア子会社を持つ経営者は最新情報を確認してください。


まとめ・次のアクション

【ブロック1: 自分でできるステップチェックリスト】



この記事はマレーシア内国歳入庁(LHDN/IRB)の公式情報を基に作成しています。法律・税制は変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

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※ この記事の情報は2026年3月12日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。