シンガポールの就労ビザ(EP・S Pass・Work Permit)を徹底比較。2026年最新のCOMPASS評価制度、EP最低月給SGD5,600、S Pass最低SGD3,150、ONE Pass、家族帯同条件、PR申請資格まで完全解説。
この記事のポイント
- シンガポールの主要就労パスはEP(Employment Pass)、S Pass、WP(Work Permit)の3種類。2023年導入のCOMPASS(ポイント評価)がEP取得の重要な関門
- EPの最低月給は5,600 SGD(約694,875円) (金融サービスは6,200 SGD(約769,326円) )で年齢に応じて引上げ
- ONE Passは月給30,000 SGD(約3,722,547円) 以上の高度人材向け。転職自由、配偶者の就労も可能
- 2026年3月時点の最新情報。詳細はMOM(シンガポール人材省)公式サイトでご確認ください
📌 この記事はシンガポール人材省(MOM)の公式情報(2026年3月22日確認・Last Updated: 4 March 2026)に基づいています。
シンガポール就労パスの全体像
シンガポールで外国人が就労するには、MOM(Ministry of Manpower / 人材省)が発行する就労パスの取得が必須です。日本のように就労資格のみで複数の職種に対応するのではなく、職種・スキルレベル・給与水準によって申請すべきパスが異なります。
パスの階層構造
主要パスの比較表
| 項目 | EP | S Pass | WP | ONE Pass |
|---|---|---|---|---|
| 対象者 | 管理職・専門職 | 中技能労働者 | 技能労働者 | トップ人材 |
| 最低月給 | 5,600 SGD(約694,875円) 〜 | 3,150 SGD(約390,867円) 〜 | 業種による | 30,000 SGD(約3,722,547円) |
| 年齢加算 | あり(年齢上昇で必要給与UP) | あり | なし | なし |
| 学歴要件 | 大学卒以上 | ディプロマ以上 | 業種による | 問わない |
| COMPASS | 必要(40点以上) | 不要 | 不要 | 不要 |
| 有効期間 | 初回2年、更新3年 | 初回2年、更新3年 | 最大2年 | 5年 |
| 家族帯同(DP) | 月給6,000 SGD(約744,509円) + | 不可 | 不可 | 可(配偶者就労可) |
| PR申請 | ○ | ○ | × | ○ |
| 転職 | 新雇用主がEP申請 | 新雇用主がS Pass申請 | 不可 | 自由(自分で保持) |
| 雇用主の枠制限 | なし(COMPASS調整) | 業種別割当枠あり | 業種別割当枠あり | なし |
日本との比較: 日本の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務等)は最低給与の明確な数値基準がなく、「日本人と同等以上」が原則です。シンガポールは明確な最低給与ラインが設定されており、よりシンプルかつ透明な制度です。
Employment Pass(EP)の詳細
COMPASS(Complementarity Assessment Framework)
2023年9月1日から導入されたポイント評価制度で、EP申請の第2段階として適用されます。
| 評価項目 | 基準 | ポイント |
|---|---|---|
| C1: 給与 | 同業種・年齢の25パーセンタイル以上 | 0〜20点 |
| C2: 学歴 | 世界トップ大学等 | 0〜20点 |
| C3: 多様性 | 自社の国籍多様性 | 0〜20点 |
| C4: 現地雇用支援 | シンガポール人のPMET比率 | 0〜20点 |
| ボーナスA | Skills Bonus(スキル不足分野) | +10〜20点 |
| ボーナスB | Strategic Economic Priorities | +10点 |
| 合格ライン | 40点以上 |
💡 COMPASSの実務的ポイント: C1(給与)とC2(学歴)は個人に関する要件、C3(多様性)とC4(現地雇用支援)は雇用主に関する要件です。つまり、同じ候補者でも雇用主の企業構成によって合否が変わる可能性があります。
EP申請の最低給与(年齢別目安)
| 年齢 | 最低月給 | 金融サービス業 |
|---|---|---|
| 23歳〜 | 5,600 SGD(約694,875円) | 6,200 SGD(約769,326円) |
| 30代前半 | 7,000 SGD(約868,594円) 〜 | 7,500 SGD(約930,637円) 〜 |
| 40代 | 10,000 SGD(約1,240,849円) 〜 | 11,000 SGD(約1,364,934円) 〜 |
| 45歳以上 | 11,500 SGD(約1,426,976円) 〜 | 12,500 SGD(約1,551,061円) 〜 |
⚠️ 上記は目安です。MOMのSelf-Assessment Tool(SAT)で事前に確認することを強く推奨します。
EP申請の流れ
- 雇用主がMyCareersFutureに求人を14日以上掲載(公正採用要件 / FCF)
- EP Online(e-Service)でMOMに申請
- ステージ1審査: 最低給与要件の確認(約1週間)
- ステージ2審査: COMPASS評価(約3週間)
- **In-Principle Approval(IPA)**の発行
- 候補者がシンガポールに入国、パスカード発行
申請費用:
- 申請料: 105 SGD(約13,029円)
- 発給料: 225 SGD(約27,919円)
処理期間: 通常3週間(複雑なケースは8週間以上)
5年EP(Tech.Pass枠)
2023年9月から、IT分野のスキル不足に対応するため、経験豊富なテック人材は5年間有効なEPを申請可能です。対象スキルはMOMが指定するリストに基づきます。
S Passの詳細
S Passは中技能の外国人労働者向けで、技術者やスーパーバイザー等が対象です。
主な条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最低月給 | 3,150 SGD(約390,867円) 〜(年齢に応じて引上げ) |
| 学歴 | ディプロマ以上(技術資格でも可) |
| 雇用主の割当枠 | サービス業: 全従業員の10%、製造業: 15% |
| 外国人雇用税(FWL) | 月額550 SGD(約68,247円) 〜650 SGD(約80,655円) (雇用主負担) |
S PassとEPの使い分け
- 月給5,600 SGD(約694,875円) 以上で大卒の場合 → EP
- 月給3,150 SGD(約390,867円) 〜5,599 SGD(約694,751円) でディプロマ卒の場合 → S Pass
- 家族帯同が必要な場合 → EP一択(S Passは家族帯同不可)
Work Permit(WP)の詳細
Work Permitは建設、製造、海洋造船、サービス等の特定業種で技能労働者を雇用するためのパスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象業種 | 建設、製造、海洋造船、プロセス、サービス |
| 対象国籍 | 業種により制限あり(マレーシア、中国、インド等) |
| 有効期間 | 最大2年(更新可能) |
| 外国人雇用税(FWL) | 月額300 SGD(約37,225円) 〜950 SGD(約117,881円) (業種・割当枠による) |
| PR申請 | 不可 |
⚠️ Work Permitは日本国籍者が取得するケースは稀です。日本人の場合、通常はEPまたはS Passの申請が適切です。
ONE Pass(Overseas Networks & Expertise Pass)
2023年1月に導入されたシンガポール最上位の就労パスで、世界トップクラスの人材を対象としています。
条件
以下のいずれかを満たすこと:
- 過去1年間の固定月給が30,000 SGD(約3,722,547円) 以上
- 将来の固定月給がSGD 30,000以上(シンガポールでの雇用先が確定している場合)
- 芸術・スポーツ・科学・学術・研究分野で顕著な実績がある場合は給与要件の免除あり
ONE Passの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効期間 | 5年 |
| 転職 | 自由(パスは個人に帰属、雇用主変更時もパス有効) |
| 起業 | 可能(同時に複数の企業で働くことも可) |
| 配偶者の就労 | **Letter of Consent(LOC)**で就労可能 |
| PR申請 | 可能 |
家族帯同の条件
| パス | 配偶者(DP) | 子女(DP) | 親(LTVP) |
|---|---|---|---|
| EP | 月給6,000 SGD(約744,509円) + | 月給6,000 SGD(約744,509円) + | 月給12,000 SGD(約1,489,019円) + |
| S Pass | × | × | × |
| WP | × | × | × |
| ONE Pass | ○ | ○ | — |
配偶者の就労: EP/ONE Pass保持者の配偶者はLetter of Consent(LOC)を取得すれば、シンガポールで就労可能です。
日本人が知っておくべき注意点
MyCareersFuture掲載義務
EP申請前に、雇用主はMyCareersFuture(政府の求人サイト)に14日以上求人を掲載し、シンガポール人を含む全候補者を公正に検討したことを示す必要があります。これは「FCF(Fair Consideration Framework)」と呼ばれる制度で、違反した企業はウォッチリストに載り、就労パスの申請制限を受けます。
年齢と給与の関係
シンガポールのEP/S Passは年齢が上がるほど必要な最低給与が上がる仕組みです。40代以上の日本人が転職する場合、EP取得に10,000 SGD(約1,240,849円) 以上の月給が必要になるケースが多いです。
CPF(中央積立基金)
シンガポールで就労する場合、雇用主と従業員の双方がCPF(Central Provident Fund)に拠出する義務があります。ただし、永住権(PR)保持者のみが対象で、EP/S Pass保持者は対象外です。
日本の年金との関係
日本とシンガポールの間には社会保障協定がないため、シンガポールでの就労期間は日本の年金加入期間にカウントされません。日本の国民年金への任意加入を検討してください。
申請が却下された場合
主な却下理由
- 最低給与基準を満たしていない
- COMPASSスコアが40点に達しない
- 雇用主がFCF違反のウォッチリストに掲載
- 学歴・職歴の証明が不十分
- 申請内容と実態の不一致
不服申立て(Appeal)
却下後、雇用主は追加書類を添えて不服申立てが可能です。ただし、承認率は高くありません。
よくある質問(FAQ)
Q1: 日本人がシンガポールで就職するにはどのビザが一般的ですか?
日本人の場合、ほとんどが**EP(Employment Pass)**です。管理職・専門職として月給5,600 SGD(約694,875円) 以上の雇用契約が必要です。日系企業の駐在員も通常EPで入国します。
Q2: COMPASS導入でEP取得は難しくなりましたか?
はい、以前は給与と学歴だけで判断されていましたが、COMPASSにより雇用主の国籍多様性(C3)やシンガポール人雇用比率(C4)も評価対象になりました。特に日本人が多い日系企業では、C3(多様性)でポイントを失うリスクがあります。
Q3: EP保持者はシンガポールの永住権(PR)を申請できますか?
はい、EP保持者はPR申請資格があります。一般的にEPで2年以上シンガポールに滞在してからPR申請するケースが多いです。詳しくはシンガポールPRガイド2026をご参照ください。
Q4: S Pass保持者は家族を呼べますか?
いいえ、S Pass保持者は配偶者・子のDependent’s Pass(DP)を申請できません。家族帯同が必要な場合は、EP取得(月給6,000 SGD(約744,509円) 以上)を目指す必要があります。
Q5: 個人事業主(フリーランス)としてシンガポールで働けますか?
自分で会社を設立し、自社からEPを申請する「EntrePass」または自社EP発行という方法があります。EntrePassは起業家向けのパスで、VCからの資金調達実績やインキュベーター参加等の条件があります。詳しくはシンガポールEntrePassガイド2026をご参照ください。
Q6: シンガポールとマレーシアのどちらで就労パスを取得すべきですか?
シンガポールはASEAN最高水準の給与が期待できますが、生活費も高い(家賃月2,500 SGD(約310,212円) 〜5,000 SGD(約620,424円) )です。マレーシアは給与は低いものの生活費は1/3程度。キャリア目標と生活スタイルで判断してください。
まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと
✅ 自分でできること
- MOMのSelf-Assessment Tool(SAT)でEP/S Pass取得可能性を事前確認
- MyCareersFuture で求人情報のリサーチ
- 学歴証明書・職歴証明書の準備
- COMPASSスコアの概算チェック
⚠️ 専門家に相談すべきこと
- COMPASSスコアが40点ギリギリの場合の戦略
- 却下後の不服申立て(Immigration Lawyer推奨)
- EntrePassの申請戦略
- ONE Pass該当性の判断
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この記事の情報は2026年3月22日時点のものです(MOM公式サイト Last Updated: 4 March 2026)。シンガポールの就労パス制度は頻繁に改正されるため、最新情報はMOM公式サイトでご確認ください。