この記事のポイント

📌 この記事はシンガポール人的資源省(MOM)の公式情報(2026年3月確認)に基づいています。

EntrePassとは

EntrePass(Entrepreneur Pass / アントルパス)は、シンガポールで自ら会社を設立し経営したい外国人起業家向けの就労ビザです。

Employment Pass(EP)が雇用主のスポンサーを必要とするのに対し、EntrePassは自分自身が会社のオーナー兼取締役として活動できる点が最大の特徴です。

ただし、すべての起業家が対象ではありません。MOMは「革新的でスケーラブルなビジネス」を求めており、小売店、飲食店、人材派遣、一般貿易などは対象外です。テクノロジー、イノベーション、知識集約型のスタートアップが審査の対象となります。

3つのカテゴリ

EntrePassの申請者は、以下の3つのカテゴリのいずれかに該当する必要があります。

イノベーター(Innovator)

IPOS(シンガポール知的財産庁)または提携機関に登録された知的財産(特許)を保有しているか、A*STAR等の研究機関からのサポートレターを取得している方。

投資家/ファイナンサー(Investor)

認定VC(ベンチャーキャピタル)、エンジェル投資家、または政府機関(SGInnovate等)からSGD10万(約1,240万円)以上の資金調達実績がある方。

アントルプレナー(Entrepreneur)

会社の売却やIPO(株式公開)の実績など、有意な起業家実績を持つ方。

申請条件

項目 条件
会社設立 申請前6ヶ月以内にシンガポールのPte. Ltd.を設立済み
事業分野 革新的なテクノロジー・スケーラブルなスタートアップ・知識集約型セクター
カテゴリ イノベーター、投資家、アントルプレナーのいずれかに該当
ビジネスプラン 市場機会・チーム・財務計画・成長戦略を示す詳細なプラン(最低10ページ)
対象外業種 小売店、飲食店、人材派遣、一般貿易、ナイトクラブ、占い等

申請手順

  1. シンガポールにPte. Ltd.を設立:ACRA(企業規制庁)のBizFile+で法人登記。費用SGD315(約3.9万円)
  2. ビジネスプランを作成:最低10ページ。エグゼクティブサマリー、製品/サービス、市場分析、チーム構成、財務予測、資金計画を含む
  3. myMOMポータルでオンライン申請:申請料SGD105(約1.3万円)
  4. 審査:MOMとEnterpriseSG/IPOSが共同審査。処理期間は4〜8週間
  5. 承認後にEntrePass発行:発行料SGD225/年(約2.8万円)
  6. 入国・事業開始

費用の内訳

費目 金額(SGD) 日本円換算 備考
EntrePass申請料 SGD105 約13,020円 不承認でも返金なし
EntrePass発行料 SGD225/年 約27,900円 毎年発生
Pte. Ltd.設立(政府手数料) SGD315 約39,060円 ACRA BizFile+
会社秘書役(Corporate Secretary) SGD500〜1,500/年 約6.2〜18.6万円 法定義務
登記住所(Registered Address) SGD300〜800/年 約3.7〜9.9万円 バーチャルオフィス利用時

※ 2026年3月時点。1SGD ≈ 124円で換算。

更新基準(重要)

EntrePassは初回1年のみ。更新にはビジネスの成長実績が必要です。

更新時期 更新期間 必要マイルストーン
1年目更新 2年間 ローカル従業員1名以上の雇用、または売上/投資マイルストーン達成
3年目更新 3年間 ローカル従業員3〜5名以上、または年間売上SGD10万以上

重要:更新基準を満たせない場合、EntrePassは更新されません。事業計画段階からローカル雇用や売上目標を織り込んでおく必要があります。

日本人が注意すべきポイント

EPとの使い分け

日本人がシンガポールで事業を行う場合、EntrePassとEPの2つの選択肢があります。自分が会社のオーナーとして起業するならEntrePass、シンガポール企業に雇用される形ならEPです。ただし、EntrePassは審査が厳しく、革新的なビジネスでなければ却下されます。飲食店やコンサルティング会社の場合はEP申請の方が現実的です。

Pte. Ltd.の維持コスト

シンガポールのPte. Ltd.は設立が容易ですが、年間維持コストが発生します。会社秘書役(法定義務)、監査、会計、GST登録等の費用を合わせると、年間SGD3,000〜10,000(約37〜124万円)が見込まれます。

対象外業種に注意

「シンガポールでラーメン店を開きたい」「輸入貿易会社を作りたい」といったビジネスはEntrePassの対象外です。これらの業種でシンガポールに拠点を置きたい場合は、別のビザカテゴリ(EPなど)を検討してください。

Employment Pass(EP)との比較

項目 EntrePass Employment Pass (EP)
対象 起業家(自分で会社経営) 被雇用者(企業に雇用される)
会社設立 必須(Pte. Ltd.) 不要(雇用主が申請)
最低給与 なし(起業家のため) SGD5,600/月以上(2025年〜)
審査基準 革新性・スケーラビリティ 学歴・職歴・給与
更新条件 雇用・売上マイルストーン 雇用継続
家族帯同 条件付き SGD6,000以上で可能

よくある質問(FAQ)

Q1: EntrePassの承認率はどれくらいですか?

公式な承認率は非公開ですが、対象外業種での申請やビジネスプランの不備による却下が多いとされています。革新的で差別化されたビジネスモデルと、しっかりしたビジネスプランが承認の鍵です。

Q2: EntrePassでシンガポールの永住権(PR)を申請できますか?

はい。EntrePass保有者もPR(永住権)の申請資格があります。ただし、事業の実績(雇用創出、売上、納税額等)が重視されます。通常2〜3年以上の事業実績が推奨されます。

Q3: 共同創業者2人でEntrePassを申請できますか?

はい。同じ会社の共同創業者がそれぞれEntrePassを申請することは可能です。ただし、各申請者がそれぞれカテゴリ要件を満たす必要があります。

Q4: 日本からリモートでPte. Ltd.を設立してからEntrePassを申請できますか?

はい。Pte. Ltd.の設立はACRAのBizFile+でオンラインで完結できます。日本から法人設立エージェントに依頼し、設立完了後にEntrePassを申請する流れが一般的です。

Q5: EntrePassが却下された場合、再申請は可能ですか?

はい。ビジネスプランの改善やカテゴリ要件の強化(投資調達の進捗等)を反映して再申請できます。却下理由を分析し、改善点を明確にしてから再申請することを推奨します。

まとめ

✅ 自分でできること

🤝 専門家に相談すべきこと

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※ この記事の情報は2026年3月12日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。