この記事のポイント
- PEZAに登録すると4〜7年間の法人税免税(Income Tax Holiday)が適用される
- ITH終了後は総収入の5%の特別税率(通常の法人税25%に代替)
- IT-BPO、製造業、物流業が主要な対象業種で、外資100%で設立可能
本記事はPEZA、FIRB(財政優遇審査委員会)の公式情報(2026年3月確認)に基づいています。
PEZAとは
PEZA(Philippine Economic Zone Authority / フィリピン経済特区庁)は、1995年のSpecial Economic Zone Act(RA 7916)に基づき設立された政府機関です。経済特区内の投資促進と管理を担い、登録企業に税制・関税・ビザ等の優遇措置を提供します。
2026年現在、全国に400以上のPEZA認定経済特区があり、4,500社以上が登録しています。特にIT-BPO産業はPEZA登録企業が業界の中核を担っています。
投資優遇措置
税制優遇
| 優遇内容 | 期間/内容 | 備考 |
|---|---|---|
| Income Tax Holiday(ITH) | 4〜7年間の法人税免税 | 業種・立地による |
| 特別法人税(5% GIE) | ITH後、総収入の5% | 通常の法人税25%に代替 |
| VAT免税 | 域内取引は0%税率 | 輸出取引に適用 |
| 地方税免除 | ITH期間中免除 | 市区町村税等 |
CREATE法による変更点
2021年のCREATE法(RA 11534)により、PEZA優遇制度に以下の変更が加えられました。
- ITH期間: 最長7年(従来は最長8年)
- 5% GIE: 段階的に見直し、FIRB(財政優遇審査委員会)の承認が必要
- 新規登録企業: Enhanced Deductions(強化控除)方式を選択可能
関税・輸入優遇
| 優遇内容 | 詳細 |
|---|---|
| 資本設備の関税免除 | 製造設備・事務機器等 |
| 原材料の関税免除 | 輸出向け製品の原材料 |
| 消耗品の関税免除 | 事業運営に直接使用するもの |
ビザ・就労許可の優遇
PEZA登録企業の外国人従業員は、通常の9(g)ビザ+AEP手続きの代わりにPEZAワンストップ窓口でビザと就労許可を一括取得できます。処理期間は通常の半分以下です。
対象業種
IT-BPO(情報技術・ビジネスプロセスアウトソーシング)
フィリピンのIT-BPO産業は世界第2位の規模で、PEZA登録のIT企業が業界の大半を占めます。
| 対象サービス | 具体例 |
|---|---|
| コールセンター | カスタマーサポート、テクニカルサポート |
| バックオフィス | 経理、人事、データ入力 |
| ソフトウェア開発 | アプリ開発、Webシステム |
| KPO(知識プロセス) | 法務リサーチ、金融分析 |
製造業
輸出向け製造業はPEZA登録のメリットが大きい業種です。電子部品、半導体、自動車部品、食品加工等が対象です。
その他の対象業種
- 物流・倉庫
- 医療ツーリズム
- 農業バイオテクノロジー
- 再生可能エネルギー
PEZA登録の手順
Step 1: 事前相談(1〜2週間)
PEZAのOne-Stop Shop Center(マニラ本部またはオンライン)で、事業計画の適格性を確認します。
Step 2: 申請書類の提出
必要書類:
- PEZA登録申請書
- 事業計画書(5年間の財務予測含む)
- 会社のSEC登録証
- 経済特区との賃貸契約書(Letter of Intent)
- 環境コンプライアンス証明書(ECCまたはCNC)
- BOI登録証(該当する場合)
Step 3: PEZA審査・承認(2〜4週間)
PEZAボードの審査を経て、登録承認書(Certificate of Registration)が発行されます。
Step 4: FIRB確認(CREATE法適用企業)
CREATE法に基づく優遇措置を受ける場合、FIRB(Fiscal Incentives Review Board)の確認が追加で必要です。
登録費用
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 申請料 | 10,000 PHP(約30,142円) |
| 登録料 | 30,000 PHP(約90,426円) |
| 年間管理費 | 50,000 PHP(約150,710円) 〜 |
主要な経済特区
| 特区名 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| Makati Science & Technology Hub | マカティ | IT-BPO集積地 |
| Bonifacio Global City | タギッグ | 複合開発エリア |
| Cebu IT Park | セブ | セブ最大のIT拠点 |
| Clark Freeport Zone | パンパンガ | 製造業・物流拠点 |
| Subic Bay Freeport Zone | ザンバレス | 物流・製造業 |
| Laguna Technopark | ラグナ | 製造業集積地 |
日本人が知っておくべき注意点
PEZA登録 vs 非登録の比較
| 項目 | PEZA登録企業 | 非登録企業 |
|---|---|---|
| 法人税 | 0%(ITH)→ 5% GIE | 25% |
| 関税 | 免除 | 通常課税 |
| ビザ取得 | ワンストップ(高速) | BI + DOLE(通常) |
| 立地制限 | 経済特区内に限定 | 制限なし |
| 国内販売 | 30%まで(一部例外) | 制限なし |
国内販売の制限
PEZA登録企業は原則として輸出志向であることが求められ、国内販売は総売上の30%までに制限される場合があります。国内市場向けビジネスが主な場合は、BOI登録の方が適切な場合があります。
CREATE法との整合性
CREATE法により、新規登録企業の優遇措置はFIRBの個別審査が必要になりました。既存の登録企業も、優遇期間の経過措置が適用されます。
よくある質問(FAQ)
Q1: PEZA登録にはどのくらいの投資額が必要ですか?
明確な最低投資額の規定はありませんが、事業計画の実現可能性が審査されます。IT-BPOの場合、初期投資5,000,000 PHP(約15,071,000円) 程度から登録実績があります。
Q2: PEZA登録企業は経済特区の外にオフィスを持てますか?
原則として事業活動はPEZA認定経済特区内で行う必要があります。ただし、IT企業のWork-from-Home(WFH)制度は一部認められています。
Q3: 既存の法人をPEZAに登録できますか?
はい、既存のSEC登録法人をPEZAに追加登録することが可能です。経済特区内への事業所移転が必要です。
Q4: PEZA登録を取り消されるケースはありますか?
雇用計画の未達成、投資コミットメントの不履行、税制優遇の不正利用等がある場合、PEZAは登録を取り消すことができます。取消後は通常の税率が適用されます。
Q5: BOIとPEZAの違いは何ですか?
BOI(投資委員会)は経済特区の立地制限がなく国内販売制限もありませんが、税制優遇はPEZAより限定的です。輸出志向のIT-BPO・製造業はPEZA、国内市場向けビジネスはBOIが適しています。
まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと
自分でできること:
- PEZA公式サイトでの経済特区リスト・対象業種の確認
- 事業計画書の初期ドラフト作成
- 経済特区内のオフィス物件リサーチ
専門家に相談すべきこと:
- PEZA vs BOI vs 非登録の最適な選択
- CREATE法に基づくFIRB申請手続き
- 事業計画書の財務予測と税務シミュレーション
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