📌 この記事の要点
マレーシアでの法人設立時にSDN BHD(非公開有限会社)とLLP(有限責任パートナーシップ)のどちらを選ぶべきか。設立費用、税制、責任範囲、運営コストを徹底比較し、最適な法人形態の選び方を解説します。
この記事のポイント
- SDN BHDは法人税24%(中小企業は最初のRM60万まで17%)で外国人100%出資可能
- LLPは設立費用が安いが個人所得税率(最高30%)が適用
- 将来的な事業拡大を見据えるならSDN BHDが推奨
- LLPは小規模なパートナーシップ事業に適している
本記事は2026年3月時点のマレーシア会社法に基づいています。
SDN BHDとLLPの基本比較
| 項目 | SDN BHD | LLP |
|---|---|---|
| 法的根拠 | Companies Act 2016 | LLP Act 2012 |
| 法人格 | あり(独立した法人) | あり(独立した法人) |
| 出資者の責任 | 出資額の範囲 | 出資額の範囲 |
| 最低人数 | 取締役1名+株主1名 | パートナー2名以上 |
| 外国人出資 | 100%可能 | 可能(条件あり) |
| 設立費用 | 3,000 MYR(約120,973円) 〜8,000 MYR(約322,594円) | 1,500 MYR(約60,486円) 〜4,000 MYR(約161,297円) |
| 年間維持費 | 5,000 MYR(約201,621円) 〜15,000 MYR(約604,863円) | 2,000 MYR(約80,648円) 〜5,000 MYR(約201,621円) |
| 法人税率 | 24%(中小企業17%) | パートナーの個人所得税率 |
| 監査義務 | あり(免除条件あり) | なし |
| 配当課税 | 非課税(一段階課税) | N/A |
SDN BHDの詳細
メリット
- 外国人100%出資が可能: 現地パートナーなしで設立できる
- 有限責任: 個人資産と法人資産が分離
- 信頼性が高い: 取引先やバンクからの信用度が高い
- 税制優遇: 中小企業税率17%(最初のRM60万)
- マレーシアの配当は非課税: 一段階課税制度(single tier system)
デメリット
- 設立・維持費用が高い: 会社秘書役の任命が必須
- コンプライアンス要件が多い: 年次申告、監査、取締役会議事録等
- 監査費用: 年間3,000 MYR(約120,973円) 〜10,000 MYR(約403,242円)
外国人の設立要件
- 取締役のうち最低1名はマレーシア居住者
- 会社秘書役(Company Secretary)の任命が必須
- 最低資本金の要件なし(RM1から可能)
LLPの詳細
メリット
- 設立が簡単: 手続きが比較的シンプル
- 運営コストが低い: 監査義務なし
- 柔軟な利益分配: パートナー間で自由に決められる
- コンプライアンスが少ない: SDN BHDほどの報告義務がない
デメリット
- 個人所得税率が適用: 利益が大きいと税率が高くなる
- 信用度がSDN BHDより低い: 一部の取引先やバンクが敬遠することも
- 外国人には制限がある: コンプライアンスオフィサーの設置が必要
- SDN BHDへの変更が不可: 事業形態の変更には新規設立が必要
どちらを選ぶべきか?
SDN BHDを選ぶべきケース
- 年間利益がRM500,000以上を見込む場合
- 外国人単独で事業を行う場合
- 将来的に投資家からの資金調達を考えている場合
- 取引先の信用を重視する場合
- マレーシアの銀行口座開設をスムーズに行いたい場合
LLPを選ぶべきケース
- 小規模な2人以上のパートナーシップ事業
- 設立・運営コストを最小限にしたい場合
- コンサルティング等の専門サービス業
- 年間利益がRM300,000以下の見込みの場合
マレーシアのスタートアップエコシステムについてはマレーシアのスタートアップエコシステム2026もご覧ください。
日本人が知っておくべき注意点
日本のCFC税制との関係
マレーシアで法人を設立した場合、日本のCFC税制(外国子会社合算税制)の対象となる可能性があります。特にペーパーカンパニーと判断されると、日本で課税されるリスクがあります。
銀行口座開設
SDN BHDの方が銀行口座開設がスムーズです。LLPは一部の銀行で口座開設が難しい場合があります。
ビザとの関連
SDN BHDを設立することでEmployment Pass(EP)の取得が可能になります。LLPでは就労ビザの取得が困難な場合があります。
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まとめ
日本人がマレーシアで事業を行う場合、ほとんどのケースでSDN BHDが最適です。設立費用は高めですが、税制優遇、信用度、ビザ取得の面でメリットが大きいです。法人設立の詳細な手続きはASEAN税制比較2026も参考にしてください。
※ この記事の情報は2026年3月23日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。