この記事のポイント
- Sdn Bhd(Sendirian Berhad)はマレーシアで最も一般的な法人形態で、最低資本金の要件なし
- 設立費用はRM1,000〜RM3,000(政府手数料+会社秘書役費用)、登記完了まで3〜5営業日
- 外資100%出資が可能な業種が多いが、一部の業種ではブミプトラ要件あり
- 会社秘書役(Company Secretary)の選任が法的に義務
📌 本記事は2026年3月時点のSSM公式情報およびマレーシア会社法2016に基づいています。
Sdn Bhdとは
Sdn Bhd(Sendirian Berhad)は、マレーシアにおける非公開有限会社です。日本の株式会社に相当し、マレーシアで事業を行う外国企業が最も多く選択する法人形態です。
株主の責任は出資額に限定され、法人格を有するため独自の契約・資産保有・訴訟が可能です。
設立要件の概要
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 最低株主数 | 1名(外国人可) |
| 最大株主数 | 50名 |
| 最低取締役数 | 1名(マレーシア居住者が最低1名必要) |
| 会社秘書役 | 1名(マレーシア認定資格保有者、義務) |
| 最低資本金 | なし(RM1から可能) |
| 登録住所 | マレーシア国内の住所が必要 |
| 設立費用 | RM1,000〜RM3,000 |
| 所要日数 | 3〜5営業日 |
設立手順
Step 1: 会社名の予約(1営業日)
SSM(Companies Commission of Malaysia)のMyCoID 2.0ポータルで会社名を検索・予約します。予約費用はRM50で、30日間有効です。
Step 2: 会社秘書役の選任
マレーシア会社法2016により、認定資格を持つ会社秘書役の選任が義務付けられています。秘書役はSSM登記、年次報告、法定書類の管理を行います。
Step 3: 定款(Constitution)の作成
会社の定款を作成します。2016年の法改正以降、定款は任意ですが、作成する場合はSSMに提出が必要です。
Step 4: SSMへの法人登記申請
MyCoID 2.0ポータルから以下の書類を提出します:
- 会社設立申請書(Section 14)
- 取締役・株主の身分証明書
- 登録住所の証明
- 会社秘書役の同意書
Step 5: 登記完了・証明書発行(1〜3営業日)
申請が承認されると、SSMから会社登録番号と登記証明書が発行されます。
Step 6: 銀行口座開設(1〜2週間)
法人登記完了後、マレーシアの銀行で法人口座を開設します。Maybank、CIMB、HSBCが外資系法人に対応しています。
外資規制に関する注意点
マレーシアでは多くの業種で外資100%出資が可能ですが、以下の分野では制限があります:
| 業種 | 外資上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 卸売・小売 | 100% | 一部でWRT(Wholesale & Retail Trade)ライセンス必要 |
| 製造業 | 100% | MIDAの承認が必要な場合あり |
| 建設業 | 70% | CIDB登録が必要 |
| 通信業 | 49% | MCMC規制対象 |
| 金融業 | 70% | Bank Negara Malaysiaの承認が必要 |
| 石油・ガス | 30% | ペトロナス関連規制 |
年間維持費用の目安
| 項目 | 費用(年間) |
|---|---|
| 会社秘書役費用 | RM2,000〜RM5,000 |
| 会計監査費用 | RM3,000〜RM8,000 |
| 法人税申告費用 | RM1,500〜RM3,000 |
| 登録住所維持費 | RM2,000〜RM4,000 |
| SSM年次報告費 | RM200〜RM450 |
日本人が知っておくべき注意点
- 居住取締役の要件: 最低1名のマレーシア居住取締役が必要。自身がEPビザで滞在するか、現地パートナーを選任する
- 会計年度終了後6ヶ月以内に監査済み財務諸表をSSMに提出する義務がある
- 日本との租税条約: 二重課税を防止する日馬租税条約により、配当・利子・ロイヤリティの源泉税率が軽減される
よくある質問(FAQ)
Q: 日本にいながらマレーシアでSdn Bhdを設立できますか? A: はい、委任状を作成し会社秘書役に委任すれば、渡航せずに設立可能です。
Q: Sdn BhdとEnterprise(個人事業主)の違いは? A: Sdn Bhdは法人格があり有限責任ですが、Enterpriseは個人の無限責任です。外国人はEnterprise登録ができません。
Q: 資本金はいくらにすべきですか? A: 法的最低額はRM1ですが、銀行口座開設や取引先の信用のため、RM100,000以上が推奨されます。
Q: 設立後すぐに営業できますか? A: 業種によります。一般的な業種はSSM登記完了後すぐに営業可能ですが、特定業種はライセンス取得が必要です。
Q: ラブアン法人とSdn Bhdの違いは? A: ラブアン法人は3%の低税率が魅力ですが、マレーシア国内での営業に制限があります。国内市場向けはSdn Bhdが適切です。
まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと
自分でできること:
- ✅ 会社名の事前検索と候補リスト作成
- ✅ 事業計画書の作成
- ✅ 必要書類の収集
専門家に相談すべきこと:
- 🔍 外資規制の確認と最適な出資構造の設計
- 🔍 会社秘書役の選任と法人登記手続き
- 🔍 税務戦略(日馬租税条約の活用含む)