マレーシアMM2H(Malaysia My 2nd Home)は2021年の改定で要件が4倍に引き上げられ、申請数は90%減。Silver枠でも月収RM40,000(約130万円)が必要な現実と、代替ビザの選択肢を正直に解説。
この記事のポイント
- MM2Hは2021年の制度改定で要件が約4倍に引き上げられ、申請数は90%以上減少した
- 最も取りやすいSilver枠でも月収40,000 MYR(約1,612,968円) (約130万円)以上が必要。「楽園ビザ」のイメージは完全に過去のもの
- 月収100万円以下の会社員には、**DE Rantau(月収3,500 USD(約556,616円) でOK)**やLabuan就労ビザの方が現実的
この記事はマレーシア観光芸術文化省(MOTAC)のMM2H公式情報(2026年3月確認)に基づいています。
MM2Hとは — かつての「楽園ビザ」の変貌
MM2H(Malaysia My 2nd Home)は、マレーシア政府が外国人の長期滞在を促進するために2002年に開始したプログラムです。かつては月収10,000 MYR(約403,242円) 程度でも申請でき、「東南アジアで最も取りやすい長期滞在ビザ」として日本人にも大人気でした。
しかし、2021年10月の制度改定で状況は一変しました。
2021年改定で何が変わったのか
改定前(旧制度)vs 改定後(現行制度)
| 項目 | 旧制度(〜2021年) | 現行Silver | 現行Gold | 現行Platinum |
|---|---|---|---|---|
| 月収 | 10,000 MYR(約403,242円) | 40,000 MYR(約1,612,968円) | 40,000 MYR(約1,612,968円) | 40,000 MYR(約1,612,968円) |
| 定期預金 | 150,000 MYR(約6,048,630円) | 150,000 MYR(約6,048,630円) | 500,000 MYR(約20,162,100円) | 1,000,000 MYR(約40,324,200円) |
| 流動資産 | 350,000 MYR(約14,113,470円) | 150,000 MYR(約6,048,630円) | 500,000 MYR(約20,162,100円) | 1,000,000 MYR(約40,324,200円) |
| 不動産購入 | 500,000 MYR(約20,162,100円) 以上 | 600,000 MYR(約24,194,520円) 以上 | 1,000,000 MYR(約40,324,200円) 以上 | 2,000,000 MYR(約80,648,400円) 以上 |
| ビザ期間 | 10年 | 5年 | 15年 | 20年 |
結果: 申請数は改定前の年間数千件から90%以上減少。日本人申請者も激減しました。
各カテゴリの条件と現実
Silver(最も取りやすいカテゴリ)
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 海外月収 | 40,000 MYR(約1,612,968円) 以上(約130万円/月、年収約1,560万円) |
| 定期預金 | マレーシア国内銀行に150,000 MYR(約6,048,630円) (約500万円) |
| 流動資産 | 150,000 MYR(約6,048,630円) 以上 |
| 不動産購入条件 | 600,000 MYR(約24,194,520円) 以上の物件のみ購入可 |
| ビザ期間 | 5年(更新可) |
正直な評価: 「最も取りやすい」とはいえ、月収130万円。日本の上場企業の部長・執行役員クラスか、成功したフリーランス・経営者でないと到達しない。普通の会社員には無理です。
Gold
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 海外月収 | 40,000 MYR(約1,612,968円) 以上 |
| 定期預金 | 500,000 MYR(約20,162,100円) (約1,650万円) |
| 流動資産 | 500,000 MYR(約20,162,100円) 以上 |
| 不動産購入条件 | 1,000,000 MYR(約40,324,200円) 以上 |
| ビザ期間 | 15年 |
正直な評価: 定期預金だけで1,650万円。不動産を買うなら3,300万円以上の物件限定。実質的に経営者・投資家限定のカテゴリ。
Platinum
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 海外月収 | 40,000 MYR(約1,612,968円) 以上 |
| 定期預金 | 1,000,000 MYR(約40,324,200円) (約3,300万円) |
| 流動資産 | 1,000,000 MYR(約40,324,200円) 以上 |
| 不動産購入条件 | 2,000,000 MYR(約80,648,400円) 以上 |
| ビザ期間 | 20年 |
正直な評価: 定期預金3,300万円+流動資産3,300万円。合計6,600万円以上の金融資産が必要。超富裕層限定です。
受かる人の共通点
典型的な合格者プロファイル
- 日系大手企業の役員・経営者: 年収2,000万円以上、退職金・株式報酬で資産も潤沢
- 成功した事業オーナー: マレーシアに事業拠点を持つ、または持つ予定がある
- 富裕退職者: 退職金+企業年金+投資収入で月収130万円+定期預金を確保できる
- 不動産投資家: マレーシアの不動産投資を本格的に検討しており、長期滞在の実需がある
合格のために必要な書類
- 過去3ヶ月の銀行残高証明書(月末残高がRM40,000以上の収入を証明)
- 雇用証明書または事業収入証明書(英文)
- 無犯罪証明書(日本の警察庁発行)
- 健康診断書(マレーシアの指定病院)
- 保険加入証明書
落ちる人・向かない人
はっきり言って向かない人
- 月収100万円以下の会社員: Silverでも月収130万円が必要。年収1,200万円の人でも、月収ベースだと届かないケースがある(ボーナス比率が高い場合)
- 若い独身フリーランス: 月収条件を満たせても、安定収入の証明が難しい。フリーランスの場合、過去3年分の確定申告書+銀行取引履歴が求められることが多い
- マレーシアに定住する気がない人: MM2Hは長期滞在プログラム。「ビザだけ取ってほとんど行かない」は更新時に不利になる可能性がある
- 短期のノマド滞在目的: 数ヶ月のマレーシア滞在ならDE Rantauの方が圧倒的に現実的
よくある誤解
- 「旧制度の条件で申請できる」: できません。2021年以降、新規申請は全て新制度の条件が適用されます
- 「ペナン州やサラワク州は条件が緩い」: サラワク州は独自のS-MM2Hがありますが、連邦MM2Hとは別制度です。ペナン州は連邦MM2Hと同じ条件です
- 「不動産を買えば条件が緩和される」: 不動産購入はMM2H取得者の特典(購入可能な価格帯の条件)であり、申請条件の緩和にはなりません
代替ビザ — MM2Hが無理な人の選択肢
正直に言います。月収130万円を出せない人がMM2Hにこだわる理由はありません。 以下の代替ビザを真剣に検討してください。
DE Rantau(デジタルノマドビザ)
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 月収 | 3,500 USD(約556,616円) 以上(約50万円) |
| 対象 | IT/デジタル分野の職種 |
| 期間 | 最長12ヶ月(更新で24ヶ月) |
| 承認率 | 約47% |
| 費用 | 1,000 MYR(約40,324円) |
評価: IT系の人にはMM2Hより圧倒的に現実的。月収50万円+IT職歴3年でOK。
Labuan就労ビザ
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 設立費用 | 30,000 MYR(約1,209,726円) 〜(会社設立含む) |
| 対象 | Labuan法人を設立して自分をDirectorとして雇用 |
| 期間 | 2年(更新可) |
| 就労 | Labuan島内での就労が前提(実態は柔軟) |
評価: 自分の会社を持つ起業家・フリーランスには有力な選択肢。ただしLabuan法人の維持コスト(年間15,000 MYR(約604,863円) 程度)がかかる。
Professional Visit Pass(PVP)
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 対象 | マレーシア企業からの招聘状がある専門家 |
| 期間 | 最長12ヶ月 |
| 費用 | 500 MYR(約20,162円) 程度 |
評価: マレーシア企業との取引がある人向け。単独での申請は不可。
よくある質問(FAQ)
Q1: 旧制度でMM2Hを取得した人は、新条件が適用されますか?
旧制度で取得した人は、更新時に新条件が適用される可能性があります。ただし、2024年以降の政府方針では、旧制度取得者への経過措置が設けられています。詳細は最新の政府通達を確認してください。
Q2: MM2Hでマレーシアで働けますか?
原則として就労はできません。 ただし、2022年以降の改定で、条件付きの就労許可(週20時間以内)が認められる場合があります。本格的に働く場合は別途ワークパーミットが必要です。
Q3: 定期預金はいつ引き出せますか?
1年後に医療費・不動産購入・子どもの教育費の目的に限り、一部引き出しが可能です。ただし、最低残高(Silverなら100,000 MYR(約4,032,420円) )を維持する必要があります。
Q4: 配偶者や子どもを帯同できますか?
はい。配偶者と21歳未満の未婚の子どもを帯同できます。ただし、帯同家族にも個別の健康診断書・保険加入が必要です。
Q5: サラワク州のS-MM2Hは条件が緩いと聞きましたが?
はい、S-MM2Hは連邦MM2Hより条件が緩いです。月収条件が低く、定期預金額も少ない。ただし、滞在はサラワク州内に限定される点に注意。マレー半島(クアラルンプール、ペナン等)には住めません。
Q6: MM2HとDE Rantauを併用できますか?
制度上、同時に2つのビザを保持することはできません。DE Rantauで入国し、その後MM2Hの条件を満たせるようになったら切り替えることは可能です。
まとめ
自分でできること
- MM2H公式サイトで最新の条件を確認する
- 月収・資産の棚卸しをし、どのカテゴリに該当するか(または該当しないか)を判断する
- MM2Hが無理なら、DE Rantau・Labuan就労ビザ等の代替を調べる
専門家に相談すべきこと
- 旧制度MM2H保持者の更新手続き(経過措置の適用可否)
- マレーシアでの不動産投資と税務(RPGT不動産譲渡益税等)
- 日本の税務上の影響(出国税、海外転出届、日馬租税条約)
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