マレーシアSdn Bhd設立完全ガイド2025:外国人100%出資・費用・手順を徹底解説
Sdn Bhdとは
**Sdn Bhd(Sendirian Berhad)は、マレーシアの会社法(Companies Act 2016)に基づくプライベートリミテッドカンパニー(非公開有限会社)**です。日本の「株式会社」に最も近い形態で、マレーシアに進出する外国企業・起業家が最も多く選択する法人形態です。
監督官庁は**SSM(Suruhanjaya Syarikat Malaysia / Companies Commission of Malaysia)**であり、設立・変更・年次申告のすべてをSSMが管轄します。
Sdn Bhdの基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | Companies Act 2016 |
| 監督機関 | SSM(Suruhanjaya Syarikat Malaysia) |
| 最低資本金 | RM 1(約33円) |
| 株主数 | 1名〜50名 |
| 取締役数 | 最低1名(マレーシア居住者であること必須) |
| 法人格 | あり(有限責任) |
| 株式公開 | 不可(非公開会社) |
| 決算期 | 任意(設立から18ヶ月以内に最初の決算) |
主要スペック・数字
SSM登録費用(資本金別)
| 授権資本金(RM) | SSM登録料(RM) |
|---|---|
| 400,000以下 | 1,010 |
| 400,001〜500,000 | 3,010 |
| 500,001〜1,000,000 | 5,010 |
| 1,000,001〜5,000,000 | 8,010 |
| 5,000,001〜25,000,000 | 50,010 |
| 25,000,001〜50,000,000 | 100,010 |
| 50,000,001〜100,000,000 | 200,010 |
※SSM公式サイト(ssm.com.my)のTable of Feesに基づく。RM1資本金の場合、登録料はRM1,010。
設立関連の総費用目安
| 費用項目 | 金額目安(RM) | 備考 |
|---|---|---|
| SSM登録料 | 1,010〜 | 資本金による |
| 会社名検索・予約(MyCoID) | 30 | 1名義あたり |
| 定款(Constitution)作成 | 500〜2,000 | 任意(標準定款使用可) |
| 登録代理人(エージェント)費用 | 1,500〜5,000 | 会社・サービス内容による |
| 公証・翻訳費用(外国人取締役用) | 500〜1,500 | 要確認 |
| 合計目安 | 3,000〜10,000 | 約10〜33万円相当 |
エージェント費用はKLと地方、サービス範囲(秘書サービス込みかどうか等)によって大きく異なります。
外国人が100%出資できる業種・できない業種
マレーシアは多くの製造業・サービス業で外国人100%出資を認めていますが、一部業種は規制があります。
外国人100%出資が原則可能な業種
- 製造業全般(MIDA承認が必要な場合あり)
- ITサービス・ソフトウェア開発
- コンサルティング業(一般的なもの)
- Eコマース・デジタルビジネス
- 輸出入業(一般的な物品)
- 飲食業(ただし条件あり)
- 教育(民間・一部条件あり)
外国人100%出資に制限がある・または禁止される業種
| 業種 | 規制内容 |
|---|---|
| 小売業・流通業(一部) | 資本金・売上規模により制限、ブミプトラ枠が必要な場合あり |
| 飲食業(Warungなど零細) | 外国人経営に制限あり |
| 建設業 | CIDB登録・ブミプトラ出資比率の要件あり |
| 不動産仲介業 | ライセンス・出資比率要件あり |
| 医療・弁護士・会計士 | 専門職ライセンス制度あり、外国人のみでは業務不可 |
| 航空・港湾・通信 | 政府規制業種・要確認 |
| 農業・採掘(土地保有) | 土地法による外国人取得制限あり |
⚠️ 業種による外資規制はETP(Economic Transformation Programme)やMIDA(Malaysian Investment Development Authority)のガイドラインが随時更新されます。最新の業種別規制はMIDA公式サイト(mida.gov.my)で要確認。
設立手順(MyCoID登録〜SSM登録〜税務登録)
全体の流れ(目安:1〜4週間)
STEP 1: MyCoID アカウント登録(1〜2日)
↓
STEP 2: 会社名の検索・予約(1〜3日)
↓
STEP 3: 設立書類の準備・提出(3〜7日)
↓
STEP 4: SSM登録完了・会社番号取得(1〜3日)
↓
STEP 5: 銀行口座開設(1〜3週間)
↓
STEP 6: 税務登録・LHDN登録(1〜2週間)
↓
STEP 7: 必要に応じてMIDA・業種ライセンス申請
STEP 1:MyCoIDアカウント登録
- URL: https://www.ssm.com.my/ → MyCoIDポータルへ
- MyCoID(Malaysia Corporate ID)はSSMのオンライン会社登録システム
- 個人のMyKad(マレーシアIDカード)またはパスポート情報で登録
- 外国人の場合:パスポート番号で登録可能だが、マレーシア居住取締役(現地代表)がいることが実務上スムーズ
STEP 2:会社名の検索・予約
- MyCoIDポータル上でcompany name searchを実施
- 費用:RM 30/1名義
- 以下の名前は使用不可:
- 既存企業と同一または類似の名前
- 「Berhad」(公開会社のみ使用可)
- 政府・王室関連の名称
- 公序良俗に反する名称
- 承認後、30日間名前が予約される
STEP 3:設立書類の準備・提出
必要書類は以下の通り:
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| Super Form(統合申請書) | 取締役・株主・会社情報をすべて記載(Companies Act 2016から導入) |
| 定款(Constitution) | 任意。提出しない場合は法定の標準定款が適用される |
| 取締役・株主のパスポートコピー | 外国人の場合はパスポート情報 |
| 居住証明(取締役分) | マレーシア居住取締役の住所証明 |
Companies Act 2016の改正により、旧来のForm 9・Form 48A・Memorandum & Articles of Associationは廃止され、「Super Form」一本化に。これにより書類準備が大幅に簡素化されました。
STEP 4:SSM登録完了・会社番号取得
- MyCoIDでオンライン申請 → SSMが審査
- 審査通過後、**会社登録番号(Company Registration Number)**が発行される
- 設立証明書(Certificate of Incorporation)はデジタル発行(PDF)
- 通常1〜3営業日で登録完了
STEP 5:銀行口座開設
- 設立証明書・Super Form・取締役全員のパスポートを持参
- 主な対応銀行:Maybank、CIMB、RHB、Public Bank、HSBC Malaysia等
- 外国人取締役のみの場合、銀行側の審査が厳しくなる傾向あり(1〜3週間かかる場合も)
- 最低預金額・口座維持費は銀行ごとに異なる(要各銀行に直接確認)
STEP 6:税務登録(LHDN / Inland Revenue Board)
- 法人税登録(Income Tax File):会社設立後3ヶ月以内にLHDN(Lembaga Hasil Dalam Negeri)へ登録
- SST(Sales and Service Tax)登録:課税売上がRM500,000/年を超える見込みの場合
- LHDNのオンラインポータル:mytax.hasil.gov.my
STEP 7:業種ライセンス・MIDA申請(必要に応じて)
- 製造業(従業員75名以上または資本金RM2.5百万以上):MIDA製造ライセンス申請が必要
- 飲食・小売:地方自治体(DBKL等)の営業許可が必要
- 金融・保険:BNM(マレーシア中央銀行)のライセンスが必要
日本との比較・対比
| 比較項目 | マレーシア Sdn Bhd | 日本 株式会社 | 日本 合同会社(LLC) |
|---|---|---|---|
| 最低資本金 | RM 1(約33円) | 1円 | 1円 |
| 設立費用(公的費用) | RM 1,010〜(約3.3万円) | 登録免許税15万円〜 | 登録免許税6万円〜 |
| 設立にかかる期間 | 1〜4週間 | 2〜4週間 | 1〜3週間 |
| 取締役・役員の最低人数 | 取締役1名(現地居住者) | 取締役1名 | 業務執行社員1名 |
| 株主・出資者の最低人数 | 1名 | 1名 | 1名 |
| 株主の最大人数 | 50名 | 制限なし | 制限なし |
| 法人税率(中小企業) | 15〜24%(利益規模による) | 15〜23.2% | 15〜23.2% |
| 監査義務 | 一定規模以上で必須 | 大会社のみ | 原則不要 |
| 年次報告書 | SSMへ毎年提出必須 | 決算公告義務 | 原則不要 |
| 外国人100%出資 | 多くの業種で可能 | 原則可能 | 原則可能 |
| 公証人・認証 | 設立時は原則不要 | 定款認証が必要(公証役場) | 不要 |
※法人税率の詳細:マレーシアSdn Bhdは課税所得RM600,000以下の部分に15%(2024年度〜。資本金RM2.5百万以下・売上RM50百万以下の中小企業)、超過部分に**24%**が適用。
設立後の継続義務
設立したら終わりではありません。以下の継続義務を必ず把握してください。
年次報告書(Annual Return)
- 提出先:SSM
- 提出期限:決算日から30日以内(Companies Act 2016)
- 提出方法:MyCoIDポータルからオンライン提出
- 費用:RM 200(授権資本金RM25百万以下)、RM 1,000(超過の場合)
財務諸表・監査
| 条件 | 監査要否 |
|---|---|
| 売上RM100万超・または資産RM100万超・または従業員25名超(のいずれか2つ以上) | 外部監査が必要 |
| 上記に満たない規模 | **監査免除(Audit Exemption)**の対象となる可能性あり |
※監査免除の詳細基準はSSMのAudit Exemptionガイドライン(ssm.com.my)で要確認。
法人税申告(LHDN)
- 申告期限:決算日から7ヶ月以内
- 分割前払い税(CP204):事業開始後、毎月分割で前払い納税が必要
- 申告方法:mytax.hasil.gov.my からオンライン
取締役・株主変更の報告
- 変更が生じた場合、14日以内にSSMへ届出が必要
- 提出書類:変更内容に応じた所定フォーム(MyCoIDポータル)
会社秘書(Company Secretary)の設置
- Companies Act 2016により、すべてのSdn Bhdは認定会社秘書(Licensed Company Secretary)を常時1名設置する義務あり
- 費用目安:RM 1,500〜5,000/年(会社規模・業務量による)
- 会社秘書はSSMへの各種届出代行、取締役会議事録作成等を担う
日本人が注意すべきポイント・落とし穴
⚠️ ポイント1:現地居住取締役が「実質的な壁」になる
Companies Act 2016では、取締役のうち最低1名がマレーシア居住者であることが法的要件です。日本在住のまま取締役だけ就任させても、現地居住取締役なしでは登録できません。
対応策:
- ①マレーシア在住の信頼できる知人・パートナーを取締役に就任させる
- ②Nominee Director(名義取締役)サービスを利用する(月額RM200〜500程度/要見積もり)
- ③自身がビザを取得してマレーシアに居住する(MM2H・就労ビザ等)
⚠️ Nominee Directorは法的には可能ですが、実際の経営権・リスクの所在を契約で明確化しないと後のトラブルの原因になります。
⚠️ ポイント2:資本金RM1では銀行口座開設が難しい場合がある
最低資本金はRM1ですが、銀行の口座開設審査では「払込資本金の規模」が信用力の判断材料になります。外国人株主・取締役が多い場合は特に審査が厳しく、資本金RM50,000〜RM100,000程度を払い込んでいると口座開設がスムーズになるケースが多いです。
⚠️ ポイント3:会社名は英語・マレー語のみ
会社名に日本語・漢字・カタカナは使用不可。英語またはマレー語(ローマ字)で登録する必要があります。日本のブランド名や会社名をそのまま使いたい場合は英語表記でのトレードマーク登録も検討が必要です。
⚠️ ポイント4:業種規制は「設立後」に問題になることが多い
Sdn BhdはSSMへの届出ベースで設立できますが、ビジネス開始後に業種ライセンスや外資規制に引っかかるケースがあります。特に小売・飲食・建設業での外資100%展開は、MIDAや地方自治体の審査が後から必要になるため、事業内容を先に確認してから設立するのが正しい順番です。
⚠️ ポイント5:Super Formのミスは修正費用・時間がかかる
設立時のSuper Form(取締役・株主情報)の誤記入は、後から修正申請が必要になり、SSMへの修正料金と時間(数週間)が発生します。特に外国人の場合、パスポート番号・生年月日・住所のスペルミスに注意してください。
⚠️ ポイント6:SST(消費税相当)の登録タイミングを見逃さない
マレーシアのSST(Sales and Service Tax)は年間売上RM500,000を超えた時点で30日以内に登録義務が生じます。登録を怠った場合、罰則の対象になります。
まとめ・次のアクション
【ブロック1: 自分でできるステップチェックリスト】
-
1. SSM公式サイトでTable of Feesを確認する
→ https://www.ssm.com.my/ → Registration of Company → Table of Fees
自分の予定資本金に対応する登録料を確認(RM1,010〜) -
2. MyCoIDポータルで会社名の空き状況を検索する
→ MyCoIDポータル(SSM公式サイト内)にアクセス・アカウント作成
会社名検索費用:RM 30/件 予約有効期間:30日間 -
3. 事業内容がMIDAの外資規制リストに該当しないか確認する
→ https://www.mida.gov.my/ → Setting Up Business → Guidelines
特に小売・飲食・建設・専門職サービス業は必ず事前確認 -
4. マレーシア居住取締役の候補者を確定する
現地在住の知人・パートナー、またはNominee Directorサービスの相場(RM200〜500/月)を調査する -
5. 資本金の払込額を決定する
最低RM1は法律上OK。ただし銀行口座開設・信用力確保のためRM50,000〜100,000を推奨。外国送金規制(日本側の外為法申告:1億円超の場合届出必要)を確認する -
6. 会社秘書(Licensed Company Secretary)の見積もりを取る
年間費用目安:RM1,500〜5,000。KLを中心に複数社から見積もりを取り比較する -
7. LHDNへの税務登録スケジュールを把握する
設立後3ヶ月以内にlhdn登録 → https://mytax.hasil.gov.my/
CP204(分割前払い税)の初回提出期限も設立後に確認 -
8. 設立後30日以内にSSMへの初回届出スケジュールを確認する
取締役・株主情報の変更が生じた場合の届出期限は**変更から14日以内
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