SSM(マレーシア企業委員会)とは

SSM(Suruhanjaya Syarikat Malaysia / Companies Commission of Malaysia)は、マレーシアにおける企業・事業の登録・監督・規制を一元的に担う政府機関です。日本でいえば法務省(商業登記)と経済産業省(事業者登録)を合わせたような機能を持つ、起業家にとって最初に関わる公的窓口です。

SSMが管轄する登録形態は主に以下の3種類です:

  1. Registration of Business(ROB):個人事業主・パートナーシップ向け
  2. Registration of Company(ROC):法人(Sdn Bhd / Berhad等)向け
  3. Limited Liability Partnership(LLP / 有限責任パートナーシップ):専門職・中小規模向け

これら3形態のどれを選ぶかが、税負担・責任範囲・資本要件に直結するため、最初の選択が極めて重要です。


登録形態・費用・条件(具体的な数字)

SSM公式情報をもとに、各登録形態の概要を整理します。

① Registration of Business(ROB)|事業登録

項目内容
対象個人事業主、2〜20名のパートナーシップ
登録システムezBiz(オンライン)
有効期間1年または最大5年(更新制)
責任範囲無限責任(個人資産が事業債務に充当される)

注意:ROBは法人格を持たないため、契約・融資・ビザ申請において法人より不利になるケースがあります。


② Registration of Company(ROC)|会社登録

項目内容
対象Sendirian Berhad(Sdn Bhd、私的有限会社)など
登録システムMyCoID(オンライン)
最低資本金法律上の最低額なし(RM1からが一般的)
取締役数最低1名(居住者取締役が必要)
責任範囲有限責任
年次申告Penyata Tahunan(年次申告書)の提出義務あり
法的根拠Companies Act 2016 / Companies (Amendment) Act 2024

SSMは2026年1月31日〜3月31日の間、MBRS 2.0システム繁忙期として年次申告・財務諸表の遅延ペナルティを免除する措置を発表しています(2026年公式アナウンスメントより)。


③ Limited Liability Partnership(LLP)|有限責任パートナーシップ

項目内容
対象専門職(弁護士・会計士等)、中小規模共同事業
登録システムMyLLP(オンライン)
法的根拠Limited Liability Partnerships Act / LLP (Amendment) Act 2024
責任範囲有限責任(法人格あり)

申請・登録の手順

会社登録(ROC / Sdn Bhd)の基本フロー

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事業登録(ROB)のフロー

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日本との違い・対比

日本での法人設立(株式会社・合同会社)と、マレーシアのROC(Sdn Bhd)を比較します。

比較項目日本:株式会社日本:合同会社マレーシア:Sdn Bhd
最低資本金法律上1円〜(実務上は数十万円〜)1円〜RM1〜(法律上の最低額なし)
取締役数最低1名(非公開会社)社員1名〜最低1名(居住取締役必須)
設立登記機関法務局(法務省管轄)法務局(法務省管轄)SSM(MyCoID)
税務届出期限設立後2ヶ月以内(国税庁)設立後2ヶ月以内(国税庁)設立後2ヶ月以内
法人税率23.2%(中小は15%特例あり)23.2%24%(中小は17%特例あり)
定款認証公証人認証が必要(株式会社)不要(合同会社)不要
年次申告法人税申告(事業年度終了後2ヶ月以内)同左Penyata Tahunan(毎年)
オンライン完結e-Gov経由で一部可同左MyCoIDでほぼ完結
商号使用文字ローマ字・アラビア数字・一部記号可(法務省規則)同左英語・マレー語対応

補足(日本の税務届出について):国税庁の公式情報によれば、普通法人を設立した場合、設立日(設立登記日)から2ヶ月以内に「法人設立届出書」を所轄税務署へ提出する義務があります。マレーシアでも同様の期限が設定されており、この点は両国で共通しています。なお、日本では公益法人等に該当する場合は届出不要ですが、一般の営利法人は必須です。


日本人が注意すべきポイント

⚠️ ポイント1:居住者取締役(Resident Director)の義務

マレーシアのSdn Bhdは、マレーシア居住者の取締役が最低1名必要です。日本在住のまま設立する場合、現地の取締役サービス(Nominee Director)を利用するケースがありますが、実質支配権の所在・コンプライアンスリスクを十分に理解した上で活用する必要があります。

⚠️ ポイント2:事業年度・申告スケジュールの管理

SSMは2026年のアナウンスメントで、MBRS 2.0(財務報告システム)の繁忙期として2026年1月31日〜3月31日の遅延ペナルティ免除を実施しています。しかし、これは例外措置であり、通常は期限厳守が求められます。日本では決算期を自由に設定できますが、マレーシアも同様に事業年度を任意設定できる点は共通です。

⚠️ ポイント3:ROBは法人格なし=ビザ・融資で不利

個人事業登録(ROB)は手続きが簡便ですが、法人格がないため就労ビザのスポンサーになれないなど、外国人雇用・銀行融資において制約があります。日本の個人事業主(青色申告)と類似した立場と考えると理解しやすいですが、マレーシアでは移民法との絡みで特にリスクが大きくなります。

⚠️ ポイント4:Company SecretaryとAuditorの義務任用

Companies Act 2016のもと、Sdn BhdはSSM登録済みのCompany Secretaryを常時任用する義務があります。日本の株式会社に「登記上の役員」義務はあっても、専任の会社秘書役義務はないため、この点は日本人にとって盲点になりやすいです。SSMは「List of Registered Secretaries」を公式サイトで公開しており、そこから選定する必要があります。

⚠️ ポイント5:e-Complaintと罰則の厳格化

SSM公式サイトには「e-Complaint」「e-Investigation」「e-Compound」の各システムが整備されており、違反情報の通報・調査・課徴金手続きがデジタル化されています。2026年2〜3月のSSM発表では、取締役がSSMへ虚偽申告した事例でRM30,000の罰金が科された判例が報告されています。コンプライアンス軽視は経営者個人の刑事責任につながります。


まとめ・次のアクション

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この記事はマレーシア企業委員会(SSM)の公式情報を基に作成しています。法律・税制は変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

マレーシア 法人設立 会社登記 Sdn Bhd
※ この記事の情報は2026年3月19日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。