SSM(マレーシア企業委員会)とは

SSM(Suruhanjaya Syarikat Malaysia)は、マレーシアにおける企業・事業・有限責任パートナーシップ(LLP)の登録・規制・監督を一元的に担う政府機関です。日本でいう「法務省(商業登記)+国税庁(法人届出)+金融庁(一部監督機能)」を合わせたような役割を持ちます。

マレーシアで合法的に事業を行うためには、SSMへの登録が原則として義務付けられており、未登録での事業活動は法的リスクを伴います。公式サイト(https://www.ssm.com.my/)からオンラインで多くの手続きが完結できる点が特徴です。


登録形態の種類と費用(具体的な数字)

SSMに登録できる事業形態は主に以下の4種類です。

形態 マレーシア名 根拠法 主な特徴
個人事業・パートナーシップ ROB(Registration of Business) Registration of Businesses Act 1956 個人責任あり・低コスト
有限責任会社 Sdn Bhd(ROC) Companies Act 2016 有限責任・最低1名の取締役
有限責任パートナーシップ LLP(MyLLP) Limited Liability Partnerships Act 有限責任・柔軟な運営
利益計画(Interest Scheme) IS Interest Scheme Act 特定投資スキーム向け

ROB(個人事業・パートナーシップ)の登録費用

SSM公式情報に基づく標準的な費用体系:

※SSM公式の「Table of Fees」ページで最新料金を必ず確認してください。料金は改定される場合があります。

ROC(Sdn Bhd/有限会社)の登録費用

LLP(有限責任パートナーシップ)の登録


申請・登録の手順

ROB(個人事業)をezBizで登録する手順

  1. SSM公式サイト(ssm.com.my)にアクセス
  2. ezBizポータルへ移動(Services → Registration of Business → ezBiz Online)
  3. MyKad(マレーシアIDカード)またはパスポート番号でアカウント登録
    • 外国人の場合はパスポート番号を使用
  4. 事業名の検索・予約(重複チェック)
  5. 事業の種類(業種コード:MSIC Code)を選択
  6. 事業所住所・連絡先を入力
  7. 登録料をオンライン決済(クレジットカード・FPX対応)
  8. 登録証(Certificate of Registration)をダウンロード

ezBizでは24時間以内に登録完了するケースが多く、実店舗に行く必要がありません。

ROC(Sdn Bhd)をMyCoIDで登録する手順

  1. SSM公式サイト → MyCoIDポータルへアクセス
  2. 会社名の事前検索・予約申請(RM 30)
  3. 定款(Constitution)の準備(任意書類。なければ標準定款が適用)
  4. 取締役・株主情報の入力(最低取締役1名、株主1名以上)
  5. 会社秘書役(Company Secretary)の指定
    • マレーシアでは会社秘書役のSSM登録が必須
  6. 設立書類の提出・審査
  7. 設立登録費用の支払い
  8. 会社登録番号(Company Registration Number)の取得
  9. 法人設立届出(税務:LHDN、雇用:PERKESO等)

会社秘書役は必ずSSMに登録されたライセンス保有者でなければなりません(e-Secretary機能で確認可能)。


日本との違い・対比

法人形態の対比

比較項目 マレーシア(SSM) 日本(法務省)
個人事業登録 ROB(RM 30〜/年) 開業届(税務署へ提出・無料)
有限責任会社 Sdn Bhd(設立費用RM 1,000前後) 株式会社(登録免許税15万円〜)または合同会社(6万円〜)
パートナーシップ LLP(有限責任・MyLLP登録) 合同会社(LLC相当)
監督機関 SSM(1機関に集約) 法務局(登記)+税務署(届出)と分離
オンライン登録 ezBiz・MyCoIDで完結 商業登記オンライン申請対応(一部手続は対面が必要)
最低資本金 Sdn Bhd:RM 1〜(法定最低なし) 株式会社:1円〜(最低資本金制度は廃止済み)
会社秘書役 必須(SSM登録者) 不要(株式会社でも任意)
年次申告義務 MBRS経由で財務諸表・年次報告の電子提出が必要(期限あり・遅延ペナルティあり) 決算公告義務あり(株式会社)。未登記は過料

コスト比較(目安)

項目 マレーシア(Sdn Bhd) 日本(株式会社) 日本(合同会社)
政府登録料 RM 1,000前後 登録免許税15万円 登録免許税6万円
定款認証費 不要 公証人費用約5万円 不要
年次維持費(最低) RM 150〜(MBRS申告料) 均等割り住民税7万円〜 均等割り住民税7万円〜

日本の公式情報:法務省「会社の設立登記」および国税庁「法人設立届出(C1-4)」によれば、法人設立後2ヶ月以内に税務署へ法人設立届出書を提出する義務があります。マレーシアでもLHDN(内国歳入庁)への法人登録が設立後一定期間内に必要な点は共通していますが、届出先・様式はまったく異なります。


日本人が注意すべきポイント

① 外国人の登録制限(ROB)

ROB(個人事業・パートナーシップ)への登録は、マレーシア市民またはPR(永住権)保有者のみが対象であるケースが多く、就労ビザ(EP:Employment Pass)保有の外国人が直接ROB登録できない場合があります。外国人がマレーシアで個人事業を行う場合は、法人(Sdn Bhd)設立を検討するのが一般的です。

② 会社秘書役(Company Secretary)の必須要件

日本では会社秘書役(Corporate Secretary)は不要ですが、マレーシアのSdn BhdではSSMに登録された会社秘書役の就任が設立時から必須です。この役職なしには会社運営ができず、未対応は法律違反となります。月額RM 200〜500程度の維持費が発生するのが一般的です。

③ MBRS(年次申告)の遅延ペナルティ

マレーシアでは財務諸表・年次報告書をMBRS(Malaysian Business Reporting System)経由でSSMに電子提出する義務があり、提出期限を超えると遅延ペナルティが発生します。SSMは2026年1月〜3月の繁忙期(MBRS 2.0システム移行時期)に限定的なペナルティ免除を実施しましたが、これは例外的措置です。日本の決算公告義務と異なり、ペナルティの実際の執行が厳格化されている点に注意が必要です。

④ 許認可との分離

SSM登録はあくまでも「事業体の登録」であり、業種によっては別途ライセンス・許認可(MOH・MDEC・BNM等)が必要です。飲食業・金融業・医療業・Eコマースなどは追加ライセンスが必須です。SSM登録のみで事業を開始できるわけではありません。

⑤ 虚偽申告への厳罰

SSMのニュース(2026年2月〜3月)では、取締役が虚偽申告でRM 30,000の罰金を科された事例や、虚偽情報提供で有罪答弁した事例が報告されています。登録情報の正確性は日本以上に厳しくチェックされており、書類の不備・虚偽申告は刑事処罰の対象になります。

⑥ AML/CFT(マネーロンダリング防止)対応

SSMはAML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)の規制当局としての機能も持ち、Beneficial Ownership(実質的支配者)情報の申告義務があります。日本の2024年改正による実質的支配者リスト制度と同様の枠組みですが、マレーシアでは対象範囲・更新頻度が異なります。


まとめ・次のアクション

【ブロック1: 自分でできるステップチェックリスト】


以下は一般情報では判断できず、個別状況に応じた調査が必要な論点です:


この記事はマレーシア企業委員会(SSM)の公式情報を基に作成しています。法律・税制は変更される場合があります。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。

マレーシア 法人設立 会社登記 Sdn Bhd
※ この記事の情報は2026年3月12日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。