この記事のポイント

日本の給与所得者は所得税 5~45%、住民税 10%、社会保険 15% 前後で、年収に応じて実効税率 20~50% が現実。年収 500万円で実効負担率 26.5%(手取り 367.5万円)、1,000万円で 38.4%(手取り 616.2万円)、5,000万円で 50%超に跳ね上がる。同じ所得をマレーシア(最大 30%・CGT ゼロ)やタイ(最大 35%)で得れば 10~20% の節税が可能。本ガイドで日本の税体系を図表で解説し、ASEAN 移住による税負担の変化を示す。


日本の所得税体系(2026 年版)

所得税の 7 段階累進税率

日本の所得税は累進課税制度で、所得が増えると税率も上がる。2026 年現在の税率表:

所得金額税率控除額実効税率(概算)
0~1,950,000 円5%0 円5%
1,950,001~3,300,000 円10%97,500 円10%
3,300,001~6,950,000 円20%427,500 円20%
6,950,001~9,000,000 円23%636,000 円23%
9,000,001~18,000,000 円33%1,536,000 円33%
18,000,001~40,000,000 円40%2,796,000 円40%
40,000,000 円~45%4,796,000 円45%+

この表の「控除額」は速算表用。実際の計算では基礎控除(48 万円)・扶養控除・医療費控除などが別途適用される。

基礎控除と各種控除(2026 年)

実務計算例: 年収 600 万円の給与所得者(扶養 1 人)


住民税と社会保険の実効率

住民税(都道府県税 + 市区町村税)

全国統一で以下の通り:

上記の例(課税所得 370万円):

社会保険(給与天引き)

給与所得者の社会保険料:

健康保険

厚生年金保険

雇用保険

合計社会保険料:給与の約 14.5~15.5%

年収 500 万円(月額約 41.67万円)の場合:


年収別・実効税率シミュレーション

年収 300 万円(新卒 5~8 年目水準)

税金・保険の計算

手取り額:300万円 - 76.65万円 = 223.35 万円 実効税率:76.65 / 300 = 25.55%

年収 500 万円(中堅層・平均年収近辺)

税金・保険の計算

手取り額:500万円 - 166.95万円 = 367.5 万円 実効税率:166.95 / 500 = 33.39%

年収 1,000 万円(高給層・管理職)

税金・保険の計算

手取り額:1,000万円 - 317.36万円 = 616.2 万円 実効税率:317.36 / 1,000 = 31.74%

年収 2,000 万円(富裕層)

税金・保険の計算

手取り額:2,000万円 - 648.4万円 = 1,351.6 万円 実効税率:648.4 / 2,000 = 32.42%

年収 5,000 万円(超富裕層・経営者)

税金・保険の計算

手取り額:5,000万円 - 2,074.9万円 = 2,925.1 万円 実効税率:2,074.9 / 5,000 = 41.50%


移住時の税扱いと在来税務

非居住者への転換(移住時の手続き)

日本を出国する際:

移住後の日本源泉所得への課税

ASEAN に移住後も日本からの所得がある場合:

例)マレーシア移住後、日本で毎月 30万円の年金受取:

ASEAN での課税

移住先の国での課税ルールは国により異なる:

マレーシア(MM2H ビザ)

タイ

シンガポール


ASEAN 各国の法人税・所得税比較

所得税率比較(個人給与・事業所得)

税率帯最高税率キャピタルゲイン税社会保険
日本5-45%45%20.42%14-15%
マレーシア0-30%30%0%(除外)10%
タイ0-35%35%15%5-10%
シンガポール0-22%22%0%(除外)37%(雇用主込)
フィリピン5-35%35%15%12-13%
インドネシア5-30%30%0%(除外)13-14%
ベトナム5-35%35%2-5%10.5%

移住による節税効果シミュレーション

ケース 1:マレーシア MM2H 移住(年収 1,000万円フリーランス)

日本居住時

マレーシア移住時(MM2H ビザ取得):

節税効果:年 320万円(40%)

※ただし日本への一時帰国時の税務判断・居住地論議リスクあり。顧問税理士相談必須。

ケース 2:タイ バンコク移住(年収 2,000万円給与所得者)

日本居住時

タイ移住時(Non-Immigrant Visa):

節税効果:年 240万円(36%)

※タイの税務署との関係・申告義務の判断は個別相談が必須。

ケース 3:シンガポール移住(年収 3,000万円給与所得者)

日本居住時

シンガポール移住時(Employment Pass):

節税効果:年 390~490万円(35~43%)


資産移転・相続時の脱出税(Exit Tax)

日本出国時の含み益課税

日本出国時に保有資産の含み益に対して課税される制度(2015 年以降)。

対象者

課税対象資産

計算例

回避戦略

  1. 出国前の売却:評価額 1 億円未満に減らす(損出を活用)
  2. 含み益の上場株式から债券への転換:含み益のない資産へ
  3. 相続対策:生前に贈与・遺言で移転(相続時は脱出税の特例あり)

詳細は日本出国税完全ガイド参照。


よくある質問(FAQ)

Q1:ASEAN 移住で本当に税金は安くなる?

A:国と個人の状況次第。マレーシア MM2H なら日本源泉外所得はゼロ税。タイなら実務的回避で 30~40% 削減。ただし脱税リスク・申告義務との線引きが不明確なため、必ず顧問税理士相談。

Q2:移住後も日本の不動産賃貸収入がある場合の課税は?

A:非居住者でも日本国内不動産は課税対象。源泉徴収 20.42%。さらに移住先国での課税の可能性も。所得控除(減価償却・修繕費)を活用して課税所得を圧縮。

Q3:年金受給開始前の移住と移住後の受給開始では税務が異なる?

A:異なる。受給開始前移住なら移住先国での課税ルール。受給開始後移住なら日本での源泉徴収 20.42% が継続。移住「タイミング」で数百万円の税負担が変わる。

Q4:シンガポール・マレーシアはどちらが税金安い?

A:マレーシア(域外所得非課税)の方が有利。ただしシンガポール給与なら給与税 22% で日本の 45% より圧倒的に安い。

Q5:個人事業主・フリーランス、移住後の青色申告は?

A:日本への転出届後は「非居住者」になり、日本での社会保険(国民年金)は任意加入化。青色申告は日本での収入がない場合、停止・廃止届を提出。

Q6:配偶者がいる場合、配偶者控除は移住後どうなる?

A:日本に居住する配偶者がいれば、その配偶者は引き続き日本で扶養控除。移住者本人の配偶者控除は日本では適用外に。配偶者も移住なら移住先国のルール。

Q7:移住先での納税申告義務を「無視」したらどうなる?

A:脱税罪で現地刑事罰。日本の脱税よりタイ・フィリピンは厳罰。「申告困難」は回避理由にならず。必ず現地顧問税理士・弁護士に相談。


まとめ:税負担最小化のチェックリスト

移住前(日本で実施)

移住時(出国手続き)

移住後(移住先での対応)

初期コスト:国税庁相談 3~5万円、日本税理士初期相談 10~20万円、現地税理士月額 3~10万円(開発国)。1~2年で償却可能な投資。

参考資料

日本 税金 所得税 移住
※ この記事の情報は2026年3月19日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。