この記事のポイント
マイナンバー(個人番号)は日本の住民登録と紐づいています。海外に転出届を提出すると住民票が除票となり、マイナンバーカードは返納する必要があります。ただし、マイナンバー(12桁の番号)自体は消滅せず、帰国して住民登録を復活させれば同じ番号が再び使用されます。2024年の法改正により、海外転出後もマイナンバーカードを一部利用できる制度が始まっています。本記事では、海外移住に伴うマイナンバーの取り扱いを解説します。
海外転出時のマイナンバーの取り扱い
転出届提出時の手続き
| ステップ | 内容 | 届出先 |
|---|---|---|
| 1 | 海外転出届の提出 | 市区町村役場 |
| 2 | マイナンバーカードの返納 | 市区町村役場(同時に処理) |
| 3 | 住民票の除票 | 自動処理 |
2024年5月27日以降、改正マイナンバー法が施行され、海外転出後もマイナンバーカードを継続利用できる「国外利用」の制度が開始されました。
国外利用制度(2024年〜)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 海外転出届を提出する日本国籍保有者 |
| 申請先 | 転出届提出時に市区町村窓口で申請 |
| カードの扱い | 返納不要(カード券面に国外利用の記載を追加) |
| 利用可能な機能 | 電子証明書、マイナポータル、一部のオンライン手続き |
| 利用できない機能 | 健康保険証としての利用、国内行政手続きの一部 |
注意: 国外利用の申請は転出届と同時に行う必要があります。転出後に申請することはできません。
マイナンバー(番号)の継続
マイナンバーカードを返納しても、12桁のマイナンバー(個人番号)自体は消滅しません。以下の場面で引き続き使用される可能性があります。
| 場面 | マイナンバーの利用 |
|---|---|
| 日本の証券口座 | 口座開設時に届け出たマイナンバーが継続 |
| 日本の銀行口座 | 届け出たマイナンバーが記録されている |
| 確定申告 | 非居住者の確定申告でも記載が必要 |
| 帰国時 | 同じ番号が再付与される |
海外転出前に確認すべきこと
マイナンバーカードに依存しているサービス
海外転出前に、マイナンバーカードを利用しているサービスを確認しておきましょう。
| サービス | 転出後の影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 健康保険証(マイナ保険証) | 使用不可 | 転出前に従来の保険証を確認 |
| コンビニ交付(住民票等) | 使用不可 | 転出前に必要書類を取得 |
| e-Tax(確定申告) | 国外利用なら継続可能 | 国外利用を申請 |
| マイナポータル | 国外利用なら継続可能 | 国外利用を申請 |
| ねんきんネット連携 | 国外利用なら継続可能 | 基礎年金番号でもアクセス可能 |
転出前のチェックリスト
- マイナンバーの12桁の番号を記録しておく(通知カードまたはマイナンバーカードのコピー)
- 国外利用制度の申請を検討する
- マイナンバーカードに格納された電子証明書の有効期限を確認する
- 証券会社・銀行にマイナンバーが届出済みか確認する
- 海外転出前の市区町村手続き全般を確認する
帰国時のマイナンバーの再取得
帰国手続き
帰国して転入届を提出すると、以前と同じマイナンバーが復活します。
| ステップ | 内容 | 届出先 |
|---|---|---|
| 1 | 転入届の提出 | 新住所地の市区町村役場 |
| 2 | マイナンバーカードの再交付申請 | 市区町村役場 |
| 3 | カードの受取 | 約1か月後 |
国外利用制度を利用していた場合は、転入届提出時にカードの券面変更手続きを行います。新たにカードを申請する必要はありません。
再交付の費用
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 初回交付 | 無料 |
| 紛失による再交付 | 1,000 JPY(約0円) (電子証明書搭載の場合) |
| 有効期限切れによる更新 | 無料 |
マイナンバーと税務の関係
非居住者の確定申告
海外居住者が日本で確定申告を行う場合(不動産所得、株式譲渡益など)、申告書にマイナンバーの記載が必要です。マイナンバーカードを返納していても、番号自体は有効であるため、記録しておいた番号を記載します。
確定申告の詳細は海外居住者の確定申告ガイドを参照してください。
NISA口座との関係
NISA口座の開設・維持にはマイナンバーの届出が必要です。海外転出時にNISA口座を継続保有する場合(最大5年間の非課税措置)、証券会社にマイナンバーが届出済みであれば追加手続きは不要です。
日本人が知っておくべき注意点
通知カードの扱い
通知カード(紙のカード)は2020年5月に廃止されましたが、氏名・住所等が最新の場合はマイナンバーの確認書類として引き続き利用できます。海外転出で住所が変わった場合は、通知カードはマイナンバーの確認書類としては使用できません。
マイナンバーの漏洩リスク
海外でマイナンバーの番号が漏洩した場合、日本国内での不正利用のリスクがあります。マイナンバーのコピーは安全な場所に保管し、不必要に第三者に提供しないでください。
将来の制度変更
マイナンバー制度は今後も拡充が予定されています。海外居住者への対応も段階的に改善される見込みです。最新情報はデジタル庁のウェブサイトで確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1: マイナンバーカードを海外に持っていくことはできますか?
国外利用制度を申請すれば、マイナンバーカードを海外に持ち出して利用できます。申請していない場合は返納が原則ですが、カードを物理的に持っていくこと自体は禁止されていません(ただし、カードの電子証明書は失効します)。
Q2: 海外転出後にマイナンバーが変更されることはありますか?
原則として、マイナンバーは一生変わりません。海外転出・帰国を繰り返しても同じ番号が維持されます。ただし、番号が漏洩し不正利用のおそれがある場合に限り、市区町村に申請して番号を変更できます。
Q3: 外国籍の配偶者にもマイナンバーはありますか?
日本に住民登録している外国籍の方にもマイナンバーが付与されます。海外転出時は日本人と同様にカードの返納(または国外利用の申請)が必要です。
Q4: マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が海外で切れた場合、更新できますか?
国外利用制度を利用している場合、在外公館での電子証明書の更新が可能です(2025年以降段階的に対応)。国外利用制度を利用していない場合は、帰国後に更新します。
Q5: マイナンバーカードなしで日本のオンラインサービスは使えますか?
一部のサービスはマイナンバーカードなしでも利用可能です。例えば、ねんきんネットは基礎年金番号でログインでき、年金の受給手続きをオンラインで確認できます。ただし、e-Taxなど電子申告はマイナンバーカード(国外利用)がないと利用が制限されます。
まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと
自分でできること:
- マイナンバーの番号を記録・保管
- 国外利用制度の申請(転出届と同時)
- 帰国時のマイナンバーカード再交付申請
専門家に相談すべきこと:
マイナンバーは海外移住後も完全に無関係になるわけではありません。番号を安全に管理し、帰国時にスムーズに再開できるよう準備しておきましょう。