この記事のポイント
海外に移住すると、日本の銀行口座を維持できるかどうかは銀行ごとに対応が異なります。非居住者の口座維持を認める銀行と、解約を求める銀行があり、事前の確認が不可欠です。また、非居住者口座に切り替えると、一部のサービス(投資信託の新規購入、クレジットカードなど)が制限されます。本記事では主要銀行の対応状況と、海外移住前に準備すべきことを解説します。
主要銀行の非居住者対応一覧
メガバンク3行の比較
| 銀行名 | 非居住者口座の維持 | 届出方法 | 利用制限 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | ○ 可能(届出必要) | 窓口で非居住者届出 | 投信・外貨預金の新規不可 |
| 三井住友銀行 | ○ 可能(届出必要) | 窓口で非居住者届出 | 投信購入・ローン不可 |
| みずほ銀行 | ○ 可能(届出必要) | 窓口で非居住者届出 | 投信・カードローン不可 |
三大メガバンクは原則として非居住者口座への切り替えが可能です。ただし、いずれも渡航前に窓口で届出が必要で、届出をしないまま出国すると規約違反となる場合があります。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は非居住者口座の取り扱いについて、2024年に方針を変更しました。現在は以下の条件で口座維持が可能です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座維持 | 条件付きで可能 |
| 届出 | 窓口での届出が必要 |
| 送金 | ゆうちょダイレクトは海外IPからの利用制限あり |
| 制限 | 投資信託・国債の新規購入不可 |
ネット銀行の対応
| 銀行名 | 非居住者口座 | 備考 |
|---|---|---|
| ソニー銀行 | ○ 可能 | 外貨預金・海外送金に強い、非居住者でも利用可能なサービスが多い |
| 楽天銀行 | △ 条件付き | 一部国のみ維持可能、要事前確認 |
| 住信SBIネット銀行 | × 解約必要 | 非居住者は口座維持不可 |
| PayPay銀行 | × 解約必要 | 非居住者は口座維持不可 |
SMBC信託銀行プレスティア
SMBC信託銀行プレスティアは、海外移住者にとって最も使い勝手の良い銀行の一つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 非居住者口座 | ○ 可能(専用の非居住者口座あり) |
| 外貨預金 | 13通貨対応 |
| 海外送金 | 対応(手数料あり) |
| 海外ATM引き出し | GLOBAL PASS対応 |
| 最低残高 | 月間平均残高50万円未満で口座管理手数料 2,200 JPY(約0円) /月 |
非居住者届出の手続き
出国前に行う手続き
非居住者届出は原則として出国前に行う必要があります。
| ステップ | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 1 | 銀行に非居住者届出(窓口) | 出国の1〜2週間前 |
| 2 | 届出に必要な書類を準備 | 出国の2〜4週間前 |
| 3 | 利用制限の確認 | 届出時 |
| 4 | 海外連絡先の登録 | 届出時 |
必要書類
- 本人確認書類(パスポート)
- 届出印(届出印を登録している場合)
- 海外の住所情報
- 赴任命令書(駐在員の場合)
非居住者口座で制限されること
非居住者口座に切り替えると、以下のサービスが制限されます。
| サービス | 制限内容 |
|---|---|
| 投資信託の新規購入 | 不可(既存保有分の解約は可能) |
| NISA口座 | 出国届出後も最大5年間維持可能(2019年税制改正) |
| クレジットカード | 銀行系カードは解約が必要な場合あり |
| 住宅ローン | 継続可能だが条件変更の場合あり |
| インターネットバンキング | 基本機能は利用可能(一部制限あり) |
| デビットカード | 銀行により異なる |
NISA口座の海外出国時の取り扱いについては、証券会社への届出も別途必要です。
海外送金の方法と手数料比較
日本の銀行口座から海外への送金方法を比較します。
| 送金方法 | 手数料 | 為替レート | 着金日数 |
|---|---|---|---|
| 銀行窓口送金 | 4,000 JPY(約0円) 〜8,000円 | 銀行レート(TTS) | 2〜5営業日 |
| ネットバンキング送金 | 2,000 JPY(約0円) 〜4,000円 | 銀行レート(TTS) | 2〜5営業日 |
| Wise(旧TransferWise) | 送金額の0.5%〜1% | ミッドマーケットレート | 1〜2営業日 |
| Revolut | 無料〜少額 | ミッドマーケットレート | 即日〜1営業日 |
年金の受け取りや不動産収入の送金については、海外居住者の年金ガイドや海外居住者の不動産管理も参照してください。
日本人が知っておくべき注意点
届出漏れのリスク
非居住者届出をしないまま海外に転出すると、銀行の利用規約に違反する場合があります。最悪の場合、口座が凍結されたり、マネーロンダリング対策(AML)の観点から取引が停止されるリスクがあります。
マイナンバーとの関係
銀行口座にはマイナンバーの届出が求められています。海外転出時にマイナンバーを返納した場合でも、銀行には過去に届け出たマイナンバーが記録されています。マイナンバーと海外移住の詳細を確認してください。
帰国後の手続き
帰国後は速やかに銀行に居住者届出を行い、制限されていたサービスを復活させましょう。NISA口座も再開手続きが必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1: 海外移住後も日本のATMでお金を下ろせますか?
非居住者口座を維持していれば、帰国時に日本のATMで引き出し可能です。ただし、銀行によってはキャッシュカードの有効期限切れ後に再発行できない場合があるため、出国前に確認してください。
Q2: 海外移住後にネットバンキングは使えますか?
多くの銀行で非居住者もネットバンキングを利用できます。ただし、海外IPアドレスからのアクセスがブロックされる場合や、ワンタイムパスワードの受信(SMS)に問題が生じる場合があります。VPNの利用やトークン型の認証デバイスを準備しておくことをおすすめします。
Q3: 複数の銀行口座を持っている場合、全部届出が必要ですか?
はい、非居住者届出は口座を持つ全ての銀行に対して行う必要があります。届出漏れがあると、後日問題になる可能性があります。
Q4: 法人口座は非居住者になっても維持できますか?
法人口座は個人の居住者/非居住者ステータスとは別の問題です。日本法人の代表者が海外に転出する場合、銀行に届出が必要ですが、口座自体は法人名義のため維持可能です。ただし、代表者変更を求められる場合もあります。
Q5: 解約が必要な銀行の残高はどうすればよいですか?
解約が必要な銀行の残高は、維持可能な銀行口座に振り替えるか、海外口座に送金してください。出国前に余裕を持って手続きを行い、海外転出の手続き全般のチェックリストに含めておきましょう。
まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと
自分でできること:
- 各銀行への非居住者届出(窓口で手続き)
- 不要な口座の解約と残高移動
- 海外送金サービスの比較・登録
専門家に相談すべきこと:
- NISA口座の最適な取り扱い(証券会社・税理士)
- 法人口座と個人口座の整理(銀行の法人担当)
- 海外不動産収入の送金と税務
銀行口座は海外生活のライフラインです。出国の1か月前から計画的に準備を始めてください。