この記事のポイント

この記事はインドネシア労働省および雇用創出法(UU Cipta Kerja)の公式情報(2026年3月確認)に基づいています。

インドネシア労働法の概要

インドネシアの労働法は、2003年労働法(UU No.13/2003)を基盤とし、2020年の雇用創出法(オムニバス法 / UU No.11/2020)および2023年の改正政令(PP No.35/2021の改正版)で大幅に改正されました。日本と比べて労働者保護が手厚く、解雇が極めて困難な点が最大の特徴です。

雇用契約の種類

PKWT(有期雇用契約)

項目内容
正式名称Perjanjian Kerja Waktu Tertentu
最長期間5年(オムニバス法により延長)
延長契約満了後の更新は1回まで
対象業務一時的な業務、季節業務、新製品・新事業
試用期間設定不可
契約終了時補償金(uang kompensasi)の支払い義務あり

PKWTT(無期雇用契約)

項目内容
正式名称Perjanjian Kerja Waktu Tidak Tertentu
期間無期限
試用期間最大3ヶ月
解雇厳格な法的手続きが必要
退職金法定退職金の支払い義務あり

最低賃金制度

インドネシアの最低賃金は州ごとに異なり、毎年改定されます。

2026年の主要都市の最低賃金

州・都市月額最低賃金(IDR)日本円換算
ジャカルタ特別州5,396,760 IDR(約50,632円約5.4万円
西ジャワ州(カラワン)5,530,000 IDR(約51,882円約5.5万円
東ジャワ州(スラバヤ)4,975,000 IDR(約46,675円約5.0万円
バリ州3,100,000 IDR(約29,084円約3.1万円
中部ジャワ州2,450,000 IDR(約22,986円約2.5万円

最低賃金の算定方法

オムニバス法により、最低賃金の年間上昇率は以下の計算式で決定されます:

上昇率 = 経済成長率 × インフレ率 × 一定係数

これにより、以前のような大幅な引き上げ(年10〜20%)は抑制されています。

労働時間と休暇

法定労働時間

パターン1日あたり週あたり備考
6日勤務7時間40時間土曜半日を含む
5日勤務8時間40時間一般的なオフィス

残業規制

年次有給休暇

祝日・休日

インドネシアの国民の祝日は年間16日前後。イスラム暦に基づく祝日は毎年日付が変わります。

解雇規制と退職金

解雇の手続き

インドネシアで従業員を解雇するのは、日本以上に困難です。

  1. まず労使協議を行い、合意による解約を試みる
  2. 合意できない場合、労使紛争解決機関(PHI) に調停を申し立て
  3. PHIの決定に不服の場合は産業関係裁判所に提訴

法定退職金(Uang Pesangon)

勤続年数退職金(月給の何ヶ月分)
1年未満1ヶ月分
1〜2年2ヶ月分
2〜3年3ヶ月分
3〜4年4ヶ月分
4〜5年5ヶ月分
5〜6年6ヶ月分
6〜7年7ヶ月分
7〜8年8ヶ月分
8年以上9ヶ月分

会社都合の解雇では、この退職金に加えて勤続功労金(UPMK)権利補償金が上乗せされます。

日本人が知っておくべき注意点

日本の労働法との違い

外国人の雇用

日本人をインドネシアで雇用する場合、RPTKA(外国人雇用計画書) の承認とIMTA(外国人雇用許可)が必要です。また、外国人1名につきインドネシア人の雇用が求められる「1対1ルール」があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. インドネシアで従業員を即日解雇できますか?

原則としてできません。犯罪行為や重大な就業規則違反であっても、労使協議と法的手続きが必要です。実務的には「合意退職(mutual agreement)」の形で退職金を上乗せして合意する方法が一般的です。

Q2. THR(レバランボーナス)とは何ですか?

THR(Tunjangan Hari Raya)は、イスラム暦のレバラン(断食明け大祭)前に支払う法定ボーナスです。勤続1年以上の従業員には月給1ヶ月分、1年未満の場合は勤続月数に応じた按分額を支払う義務があります。

Q3. インドネシアの社会保険制度は?

BPJS Ketenagakerjaan(労働社会保障)とBPJS Kesehatan(健康保険)への加入が義務です。雇用主負担は給与の約10〜12%、従業員負担は約3〜4%です。

Q4. リモートワーク(在宅勤務)の法的規定はありますか?

2024年時点でリモートワークに特化した法律はありませんが、就業規則(Peraturan Perusahaan)で規定することが可能です。労働時間と残業の管理義務は在宅勤務でも適用されます。

Q5. 労働組合は一般的ですか?

はい。インドネシアでは労働組合の結成が法的に保護されており、特に製造業では労働組合の影響力が強いです。ストライキも合法で、事前通告(7日前)を条件に認められています。

まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと

自分でできること:

専門家に相談すべきこと:

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※ この記事の情報は2026年3月22日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。