この記事のポイント
- 2024年10月17日より、インドネシアで流通する食品・飲料・化粧品・医薬品にはハラール認証が義務化
- 認証の管轄がMUI(インドネシア・ウラマー評議会)からBPJPH(ハラール製品保証実施庁) に移管
- 認証取得には3〜6ヶ月、費用は5,000,000 IDR(約46,910円) 〜50,000,000 IDR(約469,100円) (製品規模による)
この記事はBPJPH(ハラール製品保証実施庁)および宗教省の公式情報(2026年3月確認)に基づいています。
ハラール認証制度の概要
ハラールとは
ハラール(Halal)とはアラビア語で「許可された」という意味で、イスラム法(シャリーア)に基づいて許容される食品・製品を指します。インドネシアは人口の約87%がイスラム教徒で、世界最大のイスラム人口を抱える国です。
義務化の経緯
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2014年 | ハラール製品保証法(UU JPH No.33/2014)成立 |
| 2019年 | BPJPH(ハラール製品保証実施庁)設立 |
| 2021年 | 政令PP No.39/2021施行(施行細則) |
| 2024年10月 | 食品・飲料のハラール認証義務化開始 |
| 2026年 | 化粧品・医薬品への義務化拡大 |
| 2029年 | 全カテゴリーの義務化完了予定 |
対象品目
義務化対象(2026年3月時点)
| カテゴリー | 義務化時期 | 状況 |
|---|---|---|
| 食品・飲料 | 2024年10月 | 義務化済み |
| 食肉加工品 | 2024年10月 | 義務化済み |
| 化粧品 | 2026年 | 段階的義務化中 |
| 医薬品 | 2026年 | 段階的義務化中 |
| 化学製品 | 2029年 | 準備中 |
| バイオ製品 | 2029年 | 準備中 |
| 遺伝子組換え製品 | 2029年 | 準備中 |
ハラールでない成分(ハラーム / 禁止成分)
- 豚由来成分(ゼラチン、ラード、豚エキス)
- アルコール(酒類および食品添加物としてのエタノール)
- 適切にと畜されていない動物由来成分
- 血液由来成分
- 肉食動物由来成分
認証取得の手順
Step 1: 事前準備
- 原材料リストの作成(全成分のハラール性確認)
- 製造工程のフローチャート作成
- 製造施設のハラール適合性確認(豚由来品との交差汚染がないこと)
Step 2: BPJPH への申請
- PTSP(ワンストップサービス)ポータルでオンライン申請
- 申請書類の提出:
- 会社登記書類
- 製品リストと原材料明細
- 製造工程フローチャート
- ハラール保証システム(SJH)文書
Step 3: LPH(ハラール検査機関)による検査
- BPJPHが指定するLPH(Lembaga Pemeriksa Halal)が工場監査を実施
- 原材料の成分分析、製造ラインの確認
- 検査期間:1〜3ヶ月
Step 4: MUI(ウラマー評議会)のファトワ
- LPHの検査結果を基にMUIがハラール認定(ファトワ)を発行
- ファトワ発行までの期間:1〜2ヶ月
Step 5: BPJPH による認証書発行
- MUIのファトワに基づきBPJPHがハラール認証書を発行
- 認証の有効期間:4年間(更新可能)
費用の目安
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| BPJPH申請料 | 500,000 IDR(約4,691円) 〜2,000,000 IDR(約18,764円) |
| LPH検査料 | 3,000,000 IDR(約28,146円) 〜30,000,000 IDR(約281,460円) |
| コンサルタント費用 | 5,000,000 IDR(約46,910円) 〜20,000,000 IDR(約187,640円) |
| 合計 | 8,500,000 IDR(約79,747円) 〜52,000,000 IDR(約487,864円) |
中小企業向けの簡易認証制度(Self Declare)も2024年から導入されており、対象企業はより低コストで認証を取得できます。
日本企業が知っておくべき注意点
日本からの食品輸出
日本の食品メーカーがインドネシアに食品を輸出する場合、以下の手順が必要です。
- 日本国内でのハラール認証取得:日本のハラール認証機関(MUI認定機関)で認証を取得
- BPOM(食品医薬品監督庁)への登録:輸入食品の安全性登録
- BPJPH認証との相互認証確認:日本の認証機関がBPJPHに承認されているか確認
- ラベリング:インドネシア語のハラールラベル表示
日本のMUI認定認証機関
| 認証機関 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本イスラーム文化センター(JIT) | 東京 | MUI認定 |
| 日本ハラール協会(JHA) | 大阪 | MUI認定 |
| 日本ムスリム協会 | 東京 | MUI認定 |
よくある失敗パターン
- 醤油・みりん:アルコールを含むため、そのままではハラール認証不可。アルコールフリーの製品開発が必要
- ゼラチン:豚由来ゼラチンは不可。魚由来や植物由来の代替品を使用
- 乳化剤・香料:エタノール抽出の香料やモノグリセリドは要確認
「ハラール非該当」(Non-Halal)表示の選択肢
ハラール認証を取得しない製品でも、「Non-Halal」の表示をすることでインドネシアで流通させることは可能です。ただし、Non-Halal表示の製品はハラール製品との陳列分離が義務付けられています。
よくある質問(FAQ)
Q1. ハラール認証なしでインドネシアに食品を輸出できますか?
2024年10月以降、食品・飲料はハラール認証またはNon-Halal表示が義務です。どちらも表示しない製品は輸入・販売が禁止されます。
Q2. 日本で取得したハラール認証はインドネシアで有効ですか?
BPJPHが承認した外国のハラール認証機関(Foreign Halal Body / LHLn)で取得した認証のみ有効です。日本の認証機関がLHLnに登録されているか必ず確認してください。
Q3. 認証取得にどのくらい時間がかかりますか?
通常3〜6ヶ月です。製品数が多い場合や製造ラインの改修が必要な場合は1年以上かかることもあります。早めの準備を推奨します。
Q4. ハラール認証の費用は誰が負担しますか?
輸出者(日本の食品メーカー)が負担するのが一般的です。ただし、インドネシア側の輸入者が負担するケースもあります。契約で明確にしてください。
Q5. 酒類はインドネシアに輸出できますか?
酒類はハラール認証の対象外(当然にハラーム)ですが、Non-Halal表示で輸入自体は可能です。ただし、輸入関税率が最大150%と非常に高く、販売チャネルも限られます。
まとめ:自分でできること vs 専門家に相談すべきこと
自分でできること:
- 自社製品の原材料リストでハラール適合性をセルフチェック
- JETROの「ハラール認証」関連資料の収集
- 日本のMUI認定認証機関への問い合わせ
専門家に相談すべきこと:
- ハラール認証の申請手続き全般(ハラールコンサルタント)
- 製造ラインのハラール適合化(食品工場コンサル)
- BPOM(食品医薬品監督庁)への輸入食品登録
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