📌 この記事の要点
ASEAN在住の日本人が知るべき相続対策を徹底解説。日本の相続税の海外適用範囲、ASEAN各国の相続制度、遺言書の作成方法、信託の活用、二重課税の回避策を網羅します。
この記事のポイント
- 日本の相続税は10年ルールで海外在住者にも適用される場合がある
- シンガポール・マレーシア・インドネシアには相続税なし
- 海外の資産は各国の法律に基づく遺言書が必要
- 信託の活用でプロベート回避と資産承継の効率化が可能
本記事は2026年3月時点の法制度に基づいています。相続対策は個別性が高いため、国際相続に詳しい専門家にご相談ください。
日本の相続税と海外在住者
10年ルール
相続人または被相続人が相続開始前10年以内に日本に住所を有していた場合、全世界の財産が日本の相続税の対象となります。
| 状況 | 課税範囲 |
|---|---|
| 被相続人・相続人ともに日本に住所あり | 全世界の財産 |
| 被相続人が10年以内に日本に住所あり | 全世界の財産 |
| 被相続人が10年超海外、相続人も海外 | 日本国内の財産のみ |
| 相続人のみ10年以内に日本に住所あり | 全世界の財産 |
日本の相続税率
| 課税価格 | 税率 |
|---|---|
| 10,000,000 JPY(約0円) 以下 | 10% |
| 30,000,000 JPY(約0円) 以下 | 15% |
| 50,000,000 JPY(約0円) 以下 | 20% |
| 100,000,000 JPY(約0円) 以下 | 30% |
| 200,000,000 JPY(約0円) 以下 | 40% |
| 300,000,000 JPY(約0円) 以下 | 45% |
| 600,000,000 JPY(約0円) 以下 | 50% |
| 600,000,000 JPY(約0円) 超 | 55% |
ASEAN各国の相続制度比較
| 国 | 相続税 | プロベート | 遺言制度 |
|---|---|---|---|
| シンガポール | なし | あり(遺言ありで簡易化) | 英国式 |
| マレーシア | なし | あり | 英国式 |
| タイ | 10%(100,000,000 THB(約484,540,000円) 超) | あり | タイ民法 |
| インドネシア | なし | 裁判所手続き | 宗教法・民法 |
| ベトナム | なし | 公証手続き | ベトナム民法 |
| フィリピン | 6%(遺産税) | あり | フィリピン民法 |
遺言書の作成
各国別の遺言書が必要な理由
日本で作成した遺言書がASEAN各国で有効とは限りません。各国の法律に基づく遺言書を別途作成することを推奨します。
推奨される遺言書の構成
- 日本の遺言書: 日本国内の財産について公正証書遺言を作成
- 居住国の遺言書: 居住国(例:マレーシア)の法律に基づく遺言書
- 不動産所在国の遺言書: 不動産を所有する国の法律に基づく遺言書
遺言書作成の費用目安
| 国 | 費用 |
|---|---|
| 日本(公正証書遺言) | 50,000 JPY(約0円) 〜200,000 JPY(約0円) |
| シンガポール | 500 SGD(約62,042円) 〜3,000 SGD(約372,255円) |
| マレーシア | 500 MYR(約20,162円) 〜3,000 MYR(約120,973円) |
| タイ | 10,000 THB(約48,454円) 〜50,000 THB(約242,270円) |
信託(Trust)の活用
シンガポール信託のメリット
- プロベート回避: 裁判所の検認手続きを経ずに資産を承継
- プライバシー保護: 信託財産は公開されない
- 資産保全: 債権者からの保護
- 柔軟な分配: 条件付きの資産分配が可能
信託の種類
- Revocable Trust(撤回可能信託): 設定者が自由に変更・撤回可能
- Irrevocable Trust(撤回不能信託): 一度設定すると変更困難、税制メリットが大きい
- Family Trust: 家族の資産承継に特化
詳しくはシンガポールファミリーオフィス設立もご覧ください。
二重課税の回避
外国税額控除
海外で相続税(または類似の税金)を支払った場合、日本の相続税から控除できる場合があります。
租税条約
日本は相続税に関する租税条約をほとんどのASEAN諸国とは締結していません。所得税の租税条約とは別の扱いです。
日本人が知っておくべき注意点
預金口座の凍結リスク
日本人名義の海外銀行口座は、名義人が死亡すると凍結される場合があります。共同名義口座の設定や、信頼できる代理人への委任状の準備を検討しましょう。
デジタル資産の承継
仮想通貨やオンライン証券口座は、遺族がアクセスできない場合があります。アカウント情報を安全な方法で記録しておきましょう。
生前贈与の活用
日本の贈与税は年間1,100,000 JPY(約0円) の基礎控除があります。計画的な生前贈与で相続財産を減らす戦略も有効です。
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まとめ
ASEAN在住の日本人の相続対策は、日本と居住国の両方の法制度を理解する必要があり複雑です。早めに国際相続に詳しい弁護士・税理士に相談し、各国別の遺言書作成と信託の活用を検討しましょう。海外移住後の確定申告ガイドもあわせてお読みください。
※ この記事の情報は2026年3月23日時点のものです。最新情報は各国政府の公式サイトをご確認ください。当サイトは情報提供を目的としており、法的助言を行うものではありません。